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⑩
「はぁッ…は……」
余裕無く腕を突くルーは、軽くオレに身体を預け荒々しい息を吐く。オレも余韻に身を任せ、深呼吸した。
「ねぇ、ルー…」
まだ熱も冷めやらぬうちに口を開けば、ルーも顔をもたげ、オレを見下ろし。
その瞳はうっとりと色気を放ち、オレを縫い止める。
「ルーは、さ……」
これを聞くのには勇気が要るけれど。
オレは意を決し…おずおずと、言葉に紡ぐ。
「オレのこと、抱きたいって…思う…?」
ずっと気になってた。
もうここまでシちゃってるけども…抵抗とか、無いのかなって…。
「そのっ…男同士のやり方は…さ、」
この世界の恋愛事情とかは、よく知らないんだけど…。
唐突な質問に、少し戸惑いを見せるルーだったが…。一度目を閉じると、すぐに答えてみせた。
「知っている。…特に騎士の間では、そう珍しいものでもなかったからな…」
武士とか男のみの社会だと、小姓とか衆道っていう文化も存在はしてたから…騎士にも似たような風習が、ありはするのだと…ルーは語る。
「じゃ、じゃあ…もし、だよ?そのっ…オレがルーに抱いて欲しいって、言ったら……ルーは、抱ける?」
自信の無さから、逃げ道を作るような問い方をするオレに。ルーは迷いも無く、
「抱ける…抱きたいに決まっている…」
愛しているから。
ルーは切なげに告げるも…しかしと、語尾を濁す。
「私には経験も知識も、全く無いから…」
恋人も婚約者もいなかったという、ルーは。
こんな淫らな行為どころか…キスさえも。オレが初めてなのだと、真顔で打ち明ける。
「急いてお前を傷付けたくはないし。今はこうして触れ合えるだけでも、私は充分幸せだからな…」
かなり自制はしているが…と、ルーは悪戯に苦笑した。
「そっか…なら良かった…」
もし拒絶されたらって、不安だったけど…。
「セツこそ、平気なのか…?」
その……と、ルーは口ごもる。
たぶんオレが、抱けるかって聞いたから…なんだろうけれど。
そりゃそうだよね…
これだとオレの方が負担とか、抵抗が大きくなっちゃうんだもんね…でも。
「オレはいつだってルーに触って欲しいし。抱かれたいって、思ってるよ…。」
そこははっきりと、偽り無く晒け出す。
だってこれが本心なんだから。隠したってしょうがないもんね…。
「っ…それは、マズイな…」
口元を押さえるルーは真っ赤になり、目を反らす。
「だが、今は耐えねば…」
それでもオレの身体を労り、衝動を圧し殺すかのように大きく溜め息を吐いた。
「待ってるよ…オレはいつでも覚悟が出来てるから、ね…?」
ふふ…と笑い、ルーの首筋に腕を伸ばし引き寄せる。
「セツ…」
本番はまだ。でも…これくらいなら良いよね?
そうして誘うように、欲にまみれたままの下半身の再燃を知らしめる。
「もっかい、する…?」
「ん……」
ルーもオレの押しには弱いから、あっさりと受け入れて。
キスをくれた後、
また愛おしくも淫靡な行為に勤しむのだ。
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