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ep. 22 神子の真髄①
「ではセツ様、此方でお体を清めて頂けますか?」
「はい…」
満を持しての儀式当日は。
日の出を待たずして、既に始まっていた。
儀式を行う神殿では、前日の日暮れより煌々と篝火 が焚かれ。神官達が忙しなく準備に奔走する中、オレ達も早朝明けぬ内から訪れ、各々打ち合わせや衣装合わせに追われていた。
で…儀式の要である神子のオレはというと、まずは禊 をするよう言われて。
神殿に設けられた水場にて、体を清めながら精神統一を…まさに今から、行おうというわけなのだけど。
(朝早いし、ちょっと冷たいな…)
御祓用の白い衣だけを身に纏い、石造りの水場へとゆっくり足を踏み入れる。
壁の上部には天使を模した装飾が施され、そこから霧状のシャワーのように水が吹き出しており。その音だけが、静かな空間に響き渡る。
(でも、落ち着く…)
緊張して目が冴えてたし、神殿に来る前からずっとドキドキしっぱなしで。
下半身は水に浸かり、水を浴びながら目を閉じると。水温が、その熱をほどよく冷ましてくれるから…不思議と心穏やかになれた。
(ルー達も、今頃は儀礼用の衣装に着替えたかな…)
儀式の主役は神子だから。
勿論、守護騎士の4人も同じくらい重要な立ち位置ではあるので。やはり特別な衣装が用意されたそう。
まあ、オレのもだけど…こと衣装に関しては、アリシア様が前のめりで全面プロデュースしたって話だから。舞踏会の時といい…何気にお祭り的なの大好きだよね、アリシア様って。
まあ、今回はパフォーマンスの意味合いが強いので。敢えて大々的に行うわけから、アリシア様の趣味だけの話でもないのだけど。
その流れで、こんな風に儀式の形に則り禊なんぞやらされているわけなんだが…。
意外と理に適ってるというかね…。
緊張しまくっているオレが頭冷やす分には、ちょうど良いのかもしれない。
「お体をお拭き致しますね。」
「は、ハイ…お願いシマス…」
恥じらう暇もなく、あれよあれよと水浸しになった白衣を脱がされて。神殿に仕える少年達によって、体を隅々まで拭かれる。
一応、自分でやる意思表示はするも…
これも儀式の一環だからと、結局全てをお任せすることになってしまい。
一般人のオレからすれば、かなり抵抗はあったけどね~…年下の男の子達に全裸晒して、拭いてもらうとかさ。
女性じゃないだけ、幾分マシではあったけども…。
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