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③
「み、みんなも準備出来たかなっ…?」
「ああ。まもなく儀式を行うそうだ。」
いよいよかってなったら、また緊張感が振り返して。オレは静めようと深呼吸を繰り返す。
そんなオレを認めるルーファスは、化粧を気にしながらも…遠慮がちにそっと、頬へと触れてきた。
「セツならば、大丈夫だ。」
「……うんっ…」
励ましてくれるルーを一度仰ぎ見て、オレはもう一呼吸置き…意を決して口を開く。
「あのね、ルー…」
「ん?」
恥じらいながら、なかなか言い出せず…しどろもどろになるものの。
「ルーにっ、お願いが…あるんだけど…」
「…なんだ?」
ようやく告げ、オレは手に握り締めていた物をおずおずと差し出す。
「コレを…オレに、嵌めて欲しいんだ…」
それは…以前ルーがオレに贈ってくれた指輪。
「本当はスゴく不安なんだ、失敗したらどうしようって…」
自らが言い出しっぺだけど。
儀式が予想外にも大掛かりになっちゃった分、プレッシャーがとにかくハンパなくて…今にも押し潰されそうになる。けど、
「この指輪を御守りにしたくて、さ…」
そうすればルーが一緒だからって、頑張れる気がするから。じっとルーを見上げ、懇願すれば。
ルーはふわりと笑って、
「……喜んで。」
応えて指輪を受け取ってくれた。
「セツ、右手を。」
言われてルーが手を差し出し、ドキドキしながら自らのを重ねる。
「今度こそは、この手に意味があると…」
それは愛する者への想いの証であるのだと。
ルーは宣言し、右手の薬指へと指輪を嵌めていく。
「神子セツに、女神の加護があらんことを。」
そう祝福し、指輪へ口付けを落とした。
「へへ…ありがと。」
改めて、自身の右手に嵌められた指輪を眺める。
最初に嵌めてもらった時は、ルーも意識してたわけじゃないし。お互いに好きだとも言えなかったから…
なんだか、擽ったいや。
「セツ様、ご準備が整いましたら聖堂の方へ…」
「あっ…はい!」
神官に声を掛けられ、慌てて緩んだ顔を正す。
「神子セツ…この私に、祭壇までの護衛を任せて頂けますか?」
緊張するオレに、ルーは優雅に一礼し願い出る。
勿論オレは、くしゃりと笑って。
「…喜んで。」
愛おしいその手に、キラリと輝く右手を差し出した。
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