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⑦
「なんだか、感慨深いですね…」
「そうだな…」
ぽつりとヴィンが呟き、ルーも独り言のように返して頷く。
「僕らのお姫様が、こんなに頼もしくなってしまったからねぇ。」
オレを見やり苦笑するのはアシュで。
「ホントな~。最初の頃は何しても危なっかしくて、護ってやらなきゃってさ~…今じゃ、俺達が守られてんだもんなぁ。」
ジーナも思い出に浸りながら、しみじみと語る。
「しかもセツってば、どんどん綺麗になっちゃうからさ~。神子は異例の男児にも関わらず、見目麗しく可憐だなんて…騎士団でもね、スッゴク噂になってるらしいよ!」
今日のセツはとびきり可愛かったしね!と、ロロは興奮したよう告げるけども…。
「ええ~…それってどうなの…」
正面切って綺麗だの可愛いだの言われるのって、メチャクチャ恥ずかしいんだけど。
てか、ちょっと前までなら男だし、抵抗すらあったはずなんだが…
「儀式でのセツは、本当に美しかったな…」
それは夢にまでみた神子以上に…むしろ女神そのものだったとも。ルーファスに告げられ、うっとりと見つめられるから。
「ははっ…セツの顔、真っ赤になってら~。」
「やっ、違っ…これはっ、」
ハートをすとんと撃ち抜かれ、耳まで熱を帯びてしまい。更にはジーナにからかわれるもんだから、隠れるようにルーの胸に顔を埋める、と…
「ひゃっ…」
いきなり身体がふわりと浮き上がり。
びっくりして見上げたら。
「ちょっ…ルー…っ…」
何故かルーはオレを、お姫様抱っこ…していて。
えっ、ナニコレ…どういう状況…?
「ん?セツも疲れて、歩けなさそうだからな。」
このまま運ぶとか言い出した、オレの天然タラシ騎士様は。にっこりと悪びれもなく微笑み掛けてきた。
「…いやいや待って待って、みんな見てるからっ~!!」
なるべく目立たないよう声を抑え止めても。
ルーは遠慮するなとはぐらかし、全く聞く耳など持たない。
しかも…
(セツをこれ以上、人目に晒したくないんだ…)
今のお前は魅力的過ぎるから────とか、
こっそり耳打ちされるんだけど…。
アリシア様とか、立場も忘れて興奮気味にこっちをガン見してくるし。オリバーさんや他の騎士さん達だって、目を丸くして注目しちゃってるから…
逆効果じゃん…コレ。
「おやおや、ルーにセツを独り占めされてしまったねぇ。」
「あのように大胆な行動を起こす男では、なかったのですが…」
アシュは必死で笑いを堪え、ヴィンは呆れたよう嘆息するのが聞こえたけど。ルーは周りの反応などお構い無し、スタスタ歩き始めるから。
(もうもうもう~…)
オレは諦め、羞恥に赤くなる顔をルーの首元にしがみついて隠すけど。
それすら逆効果なのだとは、気付けるだけの冷静さはなくて。
「ルーのばかっ…」
「ん?」
知らない!…と投げやりにぼやいて。
オレはせめてもの仕返しのつもりで、ルーの首元へぎゅうっと抱き付いてやった。
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