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ep. 23 神淵の森、再び①

結界の修復を初めて成功させてから、4日目の早朝。オレ達は神淵の森へと再出発していた。 今回もオリバーさん達騎士団と共に、二度目の挑戦となるわけだが。 前回なんて森の入口で、ムーバとラルゴの奇襲に遇ったわけだから。実際には結界どころか、聖域内にすら到達してなかったんだよね。 だからだろう。 今ちょっとだけ、自分の軽はずみな言動に後悔してたりするのは… 「んぎゃ────っ…!!!!」 「セツ、落ち着いて私の背に隠れていろ!」 森の入口に陣を張り、あの時と同様のメンバー… オレとルー達守護騎士にヴィン、それからオリバーさん達騎士の精鋭数名という編成で、出発したのも束の間。 のんびり森歩き…なんて悠長なことには、ならなくて。聖域の中は性質上、侵入者等を考慮し、敢えて手付かずにしているそうだから。 現代っ子には優しくないというか、 そりゃもう歩くだけで、ごっそり体力を奪われる。 ジーナ曰く、 「こんなの散歩のレベルだけどな~。」 子どもでも…なんなら老人だって普通に歩ける程度のレベルだと言われ、オレは言葉を失った。 …そういえば、まだ幼いティコでさえ独りで来てたんだっけ、と。既に成人済みなオレは、地味にショックを受け…ガックリと肩を落とした。 ちゃんと考えた末での決断だったんだが…もう正直舐めてたよね、異世界の大自然。 ジークとの決戦で向かう魔王城だって、更に過酷な森の奥深くにあるって話だし。 結界は他にも存在するんだから…先のことを考えると、体力づくりもしておかなきゃ厳しいのかもしんない。 いや…むしろ大自然より、もっと脅威なのは… 「セツ殿を護り、体制を崩されぬよう確実に仕留めよ!」 オリバーさんが指示を飛ばし、騎士さん達が颯爽と従う。ルー達もオレを庇うよう囲いつつ、武器を手に応戦していた。 そう…自然ならオレの世界にだってあるんだから、まだ馴染みはあるけども。 魔物だけは未知の領域で…まずその恐ろしい見た目だけで、足が鋤くんでしまう。 森の中に入って間もなく、狼みたいな魔物が襲って来たかと思えば…でっかい爬虫類型のもの、所謂ゴブリンみたいな人型のものまで次々と遭遇し…。 思いもよらぬエンカウントの応酬に。 オレの心は、既に折れてしまいそうです…。 「やはり、森の結界も随分と弱まってきているようですね…。」 「そのようだな。以前は魔物もここまで活動的ではなかった筈だしな。」 ヴィンとオリバーさんは魔物を軽くあしらいながら、冷静に遣り取りを交わし… 「ジーナ、火炎系は扱いに気を付けてね~!」 「解ってるって、こんな奴ら素手で充分だしな!」 年少組なんて、普段庭ではしゃいでるようなノリで、笑いながら足場の悪い森の中を奔走している。 他の騎士さん達も、さすが精鋭部隊に選ばれただけあり…見事な戦いぶりで。 皆、危なげなく敵を撃破していった。 「僕はセツの盾だからね~。」 アシュは元守備専門の部隊なだけあり、ルーと一緒にオレの護衛に徹してくれて。 器用に仲間の援護も兼ねていたから… 改めて特級騎士団は、実力者揃いなんだなぁと。 腰を抜かしながらもオレは、感嘆の息を漏らした。

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