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「セツ、怪我はないか?」 「ありがと。オレはなんともないよ!」 魔物を倒した後、地べたにへたり込んでいたオレをルーが手を引き、立ち上がらせて。律儀にも土埃まで払ってくれる。 「まだ先は長いが…耐えられそうか?」 ちょっと震えてたのがバレたらしく、ルーは心配そうに顔を覗いてくる。 「大丈夫…せっかくここまで来たんだし、言い出したのはオレだから。」 それにオレには、フェレスティナ最強の騎士達が付いてるからね。 「みんなが守ってくれるから、心強いよ…。」 改めてありがとうって…ルーと、 それからみんなにも笑顔で伝えたら。 「…っ……!」 「これが噂の……凄まじい破壊力ですね、オリバー団長…」 ルーが照れくさそうに、明後日の方を向いてしまったかと思えば。オリバーさんや他の騎士さん達も、似たような反応を見せ始めて… オレははてな?…と、首を傾げる。 「さすがはセツ、君は本当に罪深い神子様だね~。」 「寧ろ士気が高まり有用ですよ。やはり神子には、そういった能力が…」 アシュもヴィンもふたりで意気投合し、頷き合っているし。オレ、何か変なこと言ったのかな…? 「…っていうかオレ、かなり足手まといだよね…。」 鍛練を極めた騎士の足なら、結界がある石碑まで2時間も掛からないって聞いてたのに。 オレに合わせて進んでるから、明らか失速してる気がすんだよね。 距離的にも全然進めてないようだし、魔物との遭遇率も多いから。このままだと明るい内に着けるかどうかすら、心配になってきたんだけど…。 「それは違う。」 今度は一転してごめんと頭を下げたら、ルーに顔を上げるよう促されて。 「神子のセツにしか成し得ない、役目があるように。我々にはセツを護るという使命があるのだから。」 お互い様だと、ルーはオレの頭を慰めるように撫でる。 「ルーファスの言う通り。今は魔物も多く見られますが…聖域の中心部へ進めば、次期に数も減っていくでしょうから。」 ご安心下さいと微笑むオリバーさん。 結界のある石碑には、魔物も易々とは近付くことが出来ないらしく。その分、聖域の外側に集中しているんだそうな。 「心配すんなって!いざとなったらルーがセツを担いでけば良いんだからよ~。」 なんなら俺も担いでやるから~とか、冗談交じりに笑い飛ばすジーナ。 いや、そんなの無理だろ? 森の中だし、成人男子のオレを抱えて歩くとかさ…。なのにルーは口元に手を当てて、 「そうか、その手が…」 とブツブツ言いながら、オレを凝視してくるので。 「いやいや、オレまだ歩けるからっ…!」 ルーなら本気でやりかねない雰囲気だったから。 そこは全力で拒否しておいた。 いくらなんでも、そんな情けない姿晒せないだろ… オリバーさんや他の騎士さんだっているのにさ…。

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