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④
「よしっ、やるぞ~!」
「セツ~頑張って~!」
ロロの声援を受け、皆がオレと石碑を囲んで見守る中。いよいよ2つ目の結界へと挑む。
先程まで魔物と戦いながら進んで来た森とは違い、聖域内はとても静かで。木々の葉が大きく風に揺らいでいるにも関わらず、思うほど周囲の音は聞こえてこなかった。
それでも、空気が…気配が澄んでいるかといえば、
そうとも言い切れず。
その原因は…
(瘴気が、漏れてるんだ…)
石碑のヒビに触れると、そこから漏れる灰色の粒子に違和感を覚える。
これは多分瘴気が混ざっているから…魔力の粒子が灰色に濁り、外に漏れだしてしまったんだと思う。
(瘴気って、なんなんだろ…)
よく漫画やゲームで聞いたことあるけれど。
イメージだと、悪いものしか浮かばなくて…こうして実際に触れてみると、やはり妙な感覚に襲われる。
ジークリッドの仲間が作り出したっていう、異空間とも酷似しているから…嫌な感じしかしないんだよね。
人間の体に直接的な害は、ほぼないらしいので。
神子だからこそ、敏感になってるのかもしれない。
(ふぅ……)
深呼吸し、祷りを捧げるよう胸の前で手を組む。
一度成功させているからか、気持ち的にも随分と余裕を感じられるし。右手には、ルーのくれた指輪もあるから…大丈夫。
この森の結界を修復すれば、森で採取するティコ達の安全も、今より確保出来るだろうから。
オレは子ども達の笑顔を胸に、精一杯の想いを込めて願った。
「やはり、綺麗だな…」
無意識な囁きはルーの声。
オレの身体が光に包まれると、皆が感嘆の声を漏らし。光は更に膨れ上がり、空へと立ち昇っていく。
それはまるで、女神にこの想いを届けるかのように。一際強く発光し、役目を果たすと細く収束して途切れていった。
「はぁ…」
一息吐いた途端、ガクンと膝から崩れ落ちそうになり。それを予想していたかのよう、ルーが素早く駆け寄り支えてくれる。
「セツ殿…体調が万全ではない中、大変お疲れ様でした。再びこの場に同行させて頂けたことに、深く感謝致します。」
オレを労りながら、眩しい笑顔を向けるオリバーさんに。騎士さん達も感動したと賛同し、頷く。
「こちらこそ、いつも守って頂いてますから…」
「いえ、それが我々の使命ですので。」
オリバーさんもルーと同じよう告げる。
自信は未だに持てないけど。こうして言葉で直接伝えられるのは、やっぱり嬉しい。
「けど大丈夫かい、セツ?この様子だと、帰りは歩くのも難しそうだけど…」
アシュがオレを覗き込み、心配そうに尋ねる。
前回もそうだけど、神子の力を使うと、かなり疲れるんだよね…。
今だって立ってるのさえ儘ならないから、ルーに支えてもらってるし。
「休憩してくって言っても、なぁ…」
微妙なジーナの反応は良く解る。
この調子じゃ、少し休んだくらいじゃ動けなさそうだし。何より当のオレ自身が、全く歩ける気がしないんだもんね…。
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