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「オリバー殿に関しましては、今回魔族側から直々に指名を受けております故、守護騎士と同様の権限で以て参加して頂くことになりますので。」 騎士団での引き継ぎ等が済み次第、神子屋敷にて合流し…出発までの間は、オレ達と共に過ごすようヴィンから伝えられると。 「承知した。」 応じるオリバーさんを見やると目が合い、にこりと笑顔を向けられたので…オレも軽く頭を下げて返した。 彼も今後は守護騎士同様、協力して戦う仲間になるわけだから。たった数日ではあるけれど、更に親睦を深めておかなきゃだよね。 まあ、オリバーさんはみんなも尊敬する人物だし… オレでも気兼ねなく話せるから、大歓迎だけど。 …ただ最近のルーはオリバーさんに向けて、なんだか不穏な空気出してるし?何かしら顔を合わせてはギスギスしてるから、心配ではあるんだけど…。 (むしろ性格とか似てるし…気が合いそうなもんだけどなぁ…) ちろりと隣に佇むルーを盗み見る。 初めてオレがオリバーさんと会った時は、至って親しそうな雰囲気だったはずなのに。 いや、今でも仲が悪いとは思わないけど…なーんか気まずそうなんだよねぇ。 強いて言うなら、初期のルーとアシュみたいな…? よくよく考えたら、アシュがオレをからかってたのに対し。モヤモヤしたり、嫉妬してたってこと…だと思う、から。もしかしたらオリバーさんに対しても、そういう意味でギクシャクしてんのかもしれない。 ほら、オリバーさんて騎士の鑑って感じで…誰からも慕われててさ。仕事も出来て才能豊かで。おまけに超美形とくれば…そりゃもう最強だもんね? そんな人をライバル視してたら、気が気じゃないし。てかオレからしたら…ルーも全然負けてないとは思うんだけどさ。 まあ…ルーは(おご)るような性格じゃないし。 それでも変にヤキモチ妬いたり勘違いするから…これもそんな理由じゃないかと思うんだけど。 とはいえ、あんなあからさまな態度を取らなくても、なぁ…。 (心配しなくてもいいのに…) 万にひとつ、オリバーさんがだったとしてもだ。オレにはもう、コイツ以外は考えられないのに。 …てかいくらなんでも、男同士って時点でそうそうある話でもないだろ?オレだって、まさかルーを好きになるとか思ってもみなかったし…。 これだけカッコ良くて、騎士としても完璧なクセに。どっか不器用なんだよなぁ…オレも人のこと言えないけど。 でもそういう短所も含め、オレはルーを好きになったんだから。 (もっとちゃんと、出してかないと…かな…。) ルーが不安になるなら、好きだって気持ちをもっと晒け出さないと。正直、自分でももて余してるもんだから…簡単には出来そうにないけどさ。 むしろオレとしては、かなり好き好きオーラ出しまくっちゃってたつもりだったんですけどね…。 ルーもそう。なのにオレだって不安になることは多々あって…ホント恋愛って難しい。 両想いになったからといって、すぐハッピーエンドとはならないし。そっからが本当の出発点な気もするし。 けど、ジークとはみんなで団結して戦わなくちゃいけないんだから。これを期に、オリバーさんとは元の関係に戻って欲しいとは思うよ…。

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