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「なにそれ…余計にややこしくなってんじゃんか…」 「元々はセツが巻いた種だろ~。」 自業自得だってジーナに言われたら、何にも言えないし…。 「ルー、なんとかしてよ~!」 「ん?良いんじゃないか?その方が都合も良いし…」 さっきからニコニコ顔が緩みっぱなしのルーは、全然役に立たないから。この先不安でしかないんですけど? 「ルーの言う通り、晴れて女王様公認の仲になれたんだから…」 (やっと、叶ったんだろう…?) オレだけに聞こえるよう耳打ちするアシュを、はっとして見上げたら…とても優しい瞳とぶつかって。 …アシュにはルーとのことで随分と弱いところを、見せちゃったから…ずっと心配してくれてたんだと思う。 あの時は、ホント追い詰められてたしなぁ… アシュだけじゃなく、ロロ達にも迷惑掛けてしまったし。 (あ…そうだ…) オレ大事なこと、忘れてる。 「あの、さっ…アシュ、ロロ、ジーナも…」 ヴィンには改めて伝えなきゃ。これは大事なこと、 だから。 「みんなには、散々迷惑かけてたけど…」 今更改まって話すのは、かなり恥ずかくて。でも… 「オレ…ずっとルーのことが、好きでっ…」 色々あってギクシャクしたりもして。 それでもやっと、想いも伝えられたから。 「みんなのおかげで、ちゃんと好きだって言えたから…」 だから、ありがとう… そう感謝を込めて、深く頭を下げたら。 「ははっ…そんなの始めっから知ってるよ。」 「セツもルーも分かり易いのにね~。なんですれ違ってたのか、不思議でしょーがなかったんだよ?」 「えぇ…?」 どんな反応が返ってくるのかと緊張してたのに。 ジーナとロロは苦笑しながらも、おめでとうと返してくれて。 「あれだけ頑張ったんだからね。心から祝福するよ。」 アシュも嬉しそうに、オレの頭を撫でてくれた。 ちなみにルーファスは… 「おっ…ルーのヤツ、めっちゃ赤くなってんじゃ-ん!」 「ばっ…大人をからかうんじゃないっ…」 顔を隠し、明後日の方を向いてしまうルーは耳まで真っ赤になってて。 この瞬間をオレは、とても愛おしく思う。 (幸せ、だなぁ…) まだ魔族との戦いが控えてるし、全てはこれからなんだけど。 「ルー!」 「っ…セツ…」 帰ろうと、ルーの腕を掴む。 みんなの前で全部打ち明けたことで、少しだけ大胆にもなれて…。 けど本音は照れ臭いから、ルーと同じくらいオレも真っ赤になってんのがバレないように。 火照る身体で風を切りながら、大好きなこの手を引いて。オレは帰路に向け、駆け出していた。

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