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「セツの服は、女王陛下自らが見立てた物なのですよ、ジーナ。」 そう説明するのは、アシュと共にやって来たヴィンであり。 だからだよね、オレの服がかなり個性的なのって。 舞踏会では男のオレに、本気でドレスを着せようって考えるくらいだから…まあ、納得である。 「…と言っても、あくまでセツに着せる服を選んでいるのはルーなのですが。」 「へぇ~…なかなか良いセンスしてるんだねぇ、ルーファス。」 一言多いヴィンに、アシュも乗っかって口笛を吹く。 そうすれば、ロロはまた可愛い可愛いと騒ぎ出して。ルーまで一緒になり、ウンウン頷く始末。 「セツもなんだかんだ、文句言わず着てるよなぁ~?」 ジーナに至っては、からかってくるけど。 お、オレは別にっ… 「元々拘らない性分なんだよ!それに、タダで養って貰ってるんだからさ~…」 知らない世界で、衣食住にありつけるだけでもありがたいことだし。服なんて着られれば問題無いだろ? それに、 (ルーが、選んでくれてるんだし…) ルーが朝起こしに来て、選んでくれた服を身に付けて…そういうのってなんか嬉しいだろ? …って、どんだけ乙女思考なんだか…。 「そだっ…カツラもあったんだった~!」 変なスイッチが入り掛け、慌てて話題を反らす。 今回は正式に神子として騎士団と共に行動するから、あまり必要性はないかもだけど。 町の中等を歩く時には、あった方が便利だろうと。アリシア様が気を遣ってくれたんだよね。 「どお?変じゃない?」 銀色で、自身の髪より少し長めのカツラを着けて見せると。ルー達から一斉に凝視されて。 「やっぱり純日本人の顔に、銀髪は似合わないか~…」 「いや、とても似合っている…が、」 誰も反応してくれないから、恥ずかしくなって外そうとすると…ルーが慌てて口を開く。 しかし微妙に言葉を濁して、 「私は、セツの黒髪が好きだから。」 「ッ…!」 「あ───~…まぁた始まったよ…。」 とすっとオレの胸を射抜く衝撃告白に、ジーナがすかさずツッコミを入れる。 「っ…と、とりあえずっ…コレは、荷物に入れておこっかな~…」 またみんなに弄られるのも嫌なので、いそいそとカツラを外して荷物へと押し込む。 …別に黒髪のが良いって言われたから、外したんじゃあない。…決して。 「荷物の積み込みはお任せして、私達も参りましょう。」 オリバー隊長は先に行ってますよとヴィンに促され。オレ達も急いで集合場所へと向かった。

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