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③
「おはようございます、オリバーさん~。」
「セツ殿…っ…お、おはようございます。」
ヴィンの言う通り、先に騎士団と合流していたオリバーさんは、他の団長さん達と話し込んでいて。
オレに気付いたので挨拶すると。オリバーさんは一瞬間を置いてから、慌てて一礼して返す。
「すみません、遅くなっちゃって…」
「いえ、私は団の方が気になっていただけなので…。」
お気になさらずと、朝イチでも爽やかに微笑むオリバーさん。
今は一時的にも団長職を抜けているにも関わらず、騎士団のことをちゃんと気に掛けているだなんて…。
こういうところが慕われる理由なんだろうなぁ。
「あ~セツ殿じゃないスかあ~!」
おはようございます~と、賑やかにやって来たのは。以前神殿前で会った、オリバーさんとこの団の騎士さん達3人組であり。
オレとオリバーさんに向け、ピシリと敬礼してくる。
「貴方達も遠征に参加するんですね、宜しくお願いしますね!」
改めて握手しようとオレが手を差し出すと。
3人はオリバーさんの方を気にしつつ、遠慮がちに手を取る。
「第一部隊所属、シロエと言いますっ!こちらこそ、セツ殿の護衛に選ばれてチョー幸せッス!」
一番元気な騎士…シロエさんが、両手でガシリッと握手すると。お約束のようにツッコミを入れてくる、もうひとりの騎士さんは…彼の頭を、グリグリと無理矢理押さえつける。
「あ、第一部隊所属ベルと申します。すみません、コイツ本当にポンコツなもんで…」
「い、いえ…」
相変わらず賑やかだなぁと苦笑してたら、3人目の騎士さんも手を差し出してきた。
「あ…貴方は、神淵の森でも一緒でしたよね?」
確かオリバーさんと一緒に選抜隊へ参加してたのが、彼だったはず。
オレが頭を下げると、彼はにこやかに笑顔で返して。
「第一部隊所属、カナタと申します。今回も遠征にご同行が叶い光栄です。あの、セツ殿…」
名を名乗ったカナタさんに、はい?と返すと…
彼は一度オリバーさんを一瞥して。
「うちの隊長を、どうか宜しくお願いしますね!」
彼は満面の笑みでそう告げると、シロエさん達を促して足早に去ってしまった。
なんだったんだろう…?
気になってオリバーさんを仰ぎ見れば…
「ああ、すみません…毎度騒がしくしてしまって…」
彼はバツが悪そうとばかりに笑いながら、金色の短髪をガシガシと搔き上げるので。
きょとんとしていたら、集まった騎士さん達が何やらざわつき始めた。
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