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休憩時、早速ヴィンに先程の件を話して騎士団の人達にもお願いして貰い…寄合の小屋に到着したのは、良かったんだが。 「ガッツリ水浴びするには、さすがに寒いかな…」 時刻は夕刻前で気温も下がりつつあるため、水温は低めだし。水場が小屋の外…海の家なんかにあるような、簡易的なシャワーだったもんだから。 オレはガックリと肩を落とし、溜め息を漏らす。 「まあ、身体拭くだけでも少しはマシだよな…。」 ジーナにはそこまですんのか~って、また呆れられたけど。こればかりは譲れないし…我が儘聞いて貰った手前もあるからね、目的はきっちり果たさないと。 「セツ、我々は小屋の中で待機しているから…」 何かあったら呼んでくれと告げ、ルーは水場から小屋に繋がる扉へと入って行った。 因みに水場にはコの字型の衝立があり、それをぐるりと溝が掘られていて。建物の周りは林で囲まれている。 ここからは見えないけど。用心の為、騎士さん達が見張りをしてくれているらしい。 まさか水浴びするためだけに、こんな大事になるとは…いやホント申し訳ないよね…。 「服は全部着替えて…さすがに下だけは流したいなぁ~…」 早速とばかりに上着を脱ぎ、下着をぴろんと摘まんで中を覗き込む。新しい下着を履き変えるなら、気持ち的にも洗っておきたいとこだよなぁ。 そう思い至り、下着も脱ぎ捨て全裸になると。下半身にだけ、とりあえずシャワーを浴びせる。 辺りは段々と薄暗くなり始め、空もほんのり赤みを帯びていて。裸なのもあってか、多少心許なくなるも… 「ううっ…やっぱ冷た~…でもみんな待ってるし、早く終わらせなきゃ…。」 ざっと水で洗い流し、腰にタオルを巻いて上半身は濡らした布で拭いていく。 夕時の風がひやりとするけど…さっぱりしたからか、これはこれで気持ち良いなとさえ思えた。 (あれ…?) キュッと蛇口を閉め、服を着替えようかなと思っていたら…。ふと溝が視界に入り、オレは首を傾げる。 深さは20~30センチくらいの溝なのだが…いつの間にか水位ギリギリまで、水が溜まっていて。 そこまで水を流したつもりもなかったから、変だなとは思ったんだけど…。 もしかしたら、何処かで詰まってるのかも…とか。適当に納得して、くるりと脱衣場に向き直った、その時───── (ん…なんか足元がヌルヌルして…) 振り返った先にはもう、既にはいて。 脳で認識する間もなく、 「え─────」 はオレの頭上まで伸び、一気に全身を覆い尽くして… (んうっ…!!?) オレの身体はあっという間に取り込まれ、まるでとろりとした水の中へと飛び込んだかのように。 呼吸は完全に遮断されてしまった。

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