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(なっ…に……) 息が出来ない… 口をパクパクさせると、粘液が容赦なく流れ込んでしまい…ごふりと噎せ、意識が犯されていく。 突然のことで頭の中はパニック、無我夢中で踠くけれど。により全て包み込まれた身体は、プカプカと水中で溺れているかのような状態だったから…。 残念ながら声も出せず、意識も既に遠退きそうになっていたのだけれど… 「セ───…ジーナ、ロロ、スライムだっ…!!」 「任せろ!」 「了解!」 バンッと勢い良く扉が開く音と共に、ルーが叫びながら飛び出してきて。 年少組も弾かれたよう、応えて外へと躍り出る。 「セツを焼かないでよ、ジーナ!」 「んなヘマすっかよ!」 言ってジーナとロロは掌に魔力を溜め、瞬時に炎を纏わせる。 「ちょっと熱いけど我慢してくれよ?」 ジーナがその燃える手を、オレを取り込む粘液に向け繰り出すと…ジュッと蒸発するような音が微かに聞こえて。 「っ…はッ…ごほっ…ごほっ…!」 「セツ…!!」 次にはソレを炎で消し去り…オレの身体は宙に投げ出されるものの。すかさずルーが駆け寄り抱き留めてくれた。 「こっちのも倒したよ~。」 「まさかスライムがいるとは…厄介なのに出会しちまったなぁ~。」 オレを襲って来た魔物…スライムは、他にも数匹潜んでいたようで。漏れなくロロとジーナが炎で焼き尽くしていく。 「ごほっ…はぁッ…」 「セツ、落ち着いて…ゆっくり呼吸をするんだ。」 ルーに支えられぼんやりする頭で、なんとか呼吸を整える。 口の中までスライムの粘液が入ってきたからか…息苦しいよりも気持ち悪いのが、勝っているような気がした。 「すまない、気付くのが遅れてしまった…」 「ッ……へーきっ…」 介抱するルーは、申し訳なさそうにオレを見下ろしてて。オレは咳き込みながらも、なんとか返事をしてみせる。 「セツ殿っ…!」 「セツ、大丈夫かい…?」 オリバーさんとアシュ、それにヴィンも心配そうにしてやって来たから。 「んっ…オレは…だいじょーぶ、だよ…」 『…!!』 へたり込んだまま、顔を上げ答えると…何故だか全員そこで固まってしまい。 スライムでぼやける視界で、首を傾げるのだが… 「セ、ツ…」 ロロとジーナまで同様に…寧ろ真っ赤な顔して食い入るようにしながら、じ~っと見てくるもんだから。 …なんだろ? もしかして怪我でもしてんのかな、オレ… 「なっ…に…?」 オレを見下ろすアシュ達に問い掛けても反応が無く、戸惑っていると。 「セツの、キスマ────」 「はいはーい、子どもは見ちゃダメだよ~。」 ロロが何か言い掛けた瞬間、アシュがそれを遮って… 「もう、なにするのアシュ~全然見えないよ~!」 「おわっ…ちょ、離せって…」 いち早く正気を取り戻したアシュが、すかさずロロとジーナの顔を塞ぎ…ズルズルと小屋の中へと引き摺って行き。 いつの間にかタオルを手にしたヴィンは、それをルーに向け投げて寄越すと… 「ルーファス、後は頼みましたよ?オリバーさん、とりあえず我々は中で待機しましょう。」 「あ、ああっ…そうだな…」 告げるや否や、固まったままのオリバーさんを促し。アシュに続いて足早に小屋へと行ってしまったから。 …一体、どうしたっていうんだ…?

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