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③
「…ッ……」
「まあまあ、ここは多目にみてあげよう?」
放心状態のルーに、アシュが苦笑いながら声を掛けるけど…反応は無く。
オレはふらふらしながら、
向かい側に座るアシュのとこまで歩き出す。
「アシュもすきだぞ~。」
「ふふ、僕も好きだよ~セツ。」
ならアシュにもちゅーしてあげるよって、両手を広げて抱き付こうとしたら…口元をやんわり手で押さえられてしまい。
「ありがとう。とても嬉しいけれど、キスは我慢しておくね。」
「んぅ~?」
あははと笑って誤魔化すアシュ。
別に我慢しなくて良いのになぁ~?
好きだったら、ちゅーくらいするだろ~?
「はぁ…セツ、とりあえず落ち着いて水でも飲みましょう?」
呆れたように溜め息を吐くヴィンが、グラスを差し出してくるも。
アシュには断られた、ならば…と。
オレはヴィンの涼しげに整った顔を見上げる。
「ヴィン優しい、すき~…」
「……!」
ぎゅうっと胸に抱き付いて、意外と筋肉質なそこに擦り寄る。スキンシップが苦手なのか、ヴィンは一瞬顔を強張らせるけど。
「すみません、ルーファス。」
「………」
ぎこちなくも、オレの頭を撫でてくれるヴィンは。暫し黙った後…何故かルーに向かって謝罪を口にし。
ルーはやっぱり固まったまんまだったけど。
「まさかセツ殿に、このような一面があったとは…」
ちょっと場の雰囲気が微妙になってきたからか、オリバーさんが気を遣ってそう苦笑いを浮かべていたので。
「オリバーさぁん~。」
「え…?」
みんなとしたんだから、ちゃんとオリバーさんとも仲良しさんしなきゃね~と思い。とことこと駆け寄る。
「オリバーさんはカッコいいし、強くて優しくて~…オレ、メチャクチャ憧れてるんですよ~?」
だいすきです~!…って首に腕を回して。
とろんとしてきた視界で見つめたら。
(あ、ルーといっしょの色だ…)
騎士としての所作とか、性格も喋り方も…
ルーと似てるなって。
「だからオリバーさんにも、」
「せっ、セツ殿っ…」
ちゅーしますね~…ぐるぐるしてたら、ルーとなんだか重なってきて。
口元に視線が飛んだら、
わけもわからず、無意識にそこへと吸い込まれてくから…
「セツ…!!」
「んぁ…るう…?」
いきなり後ろに引っ張られ…
見上げたらルーがそこに立ってて。
あれれ?となり、オリバーさんと交互に見比べる。
「あ、まだオリバーさんとちゅー…」
ルーが邪魔するから、オレはぷくってほっぺたを膨らませ反論するけど。
「部屋にっ、戻ろう…」
ひょいと抱っこされて、オレはジタバタと抗う。
「その方が良いよ。このままだと、後々セツが困るだろうからねぇ。」
アシュがルーを促すから、オレはイヤイヤと首を振って。
「なんで~オレもまだみんなと一緒にいたい~!」
「駄目だ、セツはもうフラフラじゃないか。」
駄々をこねてもルーは全く聞く耳持たず、スタスタと歩き出した。
「いや…アレは参ったな…」
「スッゴク可愛かったけどね~。さすがにマズイよねぇ…。」
ジーナとロロが疲れたよう、溜め息吐くのが聞こえたけれど。ルーは止まることなく部屋を出てしまった。
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