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「魔王城の森って、そんなに危険なのか…?」 まだラルゴと交わした期日までは、一週間くらいあるのに。…ってことは、城跡への道程が険しいんじゃないかと思ったんだが…。 「神淵の森よりは魔物も手強いし、道もぬかるんでるからなぁ~。」 俺達は余裕だけどって、ジーナは軽く言ってのけるけど。 「いや、ヴィンは我々よりセツの身を案じているのだと思うが…」 「え、オレ…?」 「そうですよ、セツ。貴方は森にも魔物にも不慣れでしょう?」 まあそれは…神淵の森で、嫌というほど思い知らされたからね。 騎士団だったら、余裕に見繕っても2~3日程で魔王城に辿り着けるらしいし。 なんなら途中にある基地にも、わざわざ寄る必要もないそうだから。言われてみれば…って話だよね。 「う~…どうせオレは足手まといデスヨ…。」 解るけどさ…なんか嫌じゃん? ただでさえみんなにも騎士団にも、迷惑かけまくってんのにさ…。 オレがあからさまヘコみだすと、ルーが優しく頭を撫でてきて。 「そんなことはない。セツの力は、私を蘇らせるほどの奇跡を呼び起こせるのだから。」 神子の力は唯一無二。 この世界の誰にも使えないし、守護騎士はその神子を護る為に存在するのだから…と。ルーは励ましてくれる。 「言い方が悪かったのかもしれませんが…貴方には無理を承知で、来て頂いてますので…」 珍しく謝罪を口にするヴィン。 そっか…ヴィンなりに、オレのことを心配してくれてたんだな…。 言葉こそ厳しい印象があるけれど、なんだかんだ仲間のことを考えてこそ…だろうから。 やっぱり優しいよね、ヴィンは。 「いいよ。ヴィンがオレのこと考えてくれてるってのは、ちゃんと解ってるから。」 ありがとうと微笑んで伝えたら、ヴィンは一瞬面食らったように目を見開いたけど。次には照れ臭そうに笑ってみせた。 食事も手早く済ませ、オレ達も急いで騎士団が集合する場所へと向かう。 「あれ…なんだか人数少ないね?」 建物前の広場に集う騎士さん達は明らかに少なく、 オレが疑問符を浮かべていると。オリバーさんが反応して答える。 「森の入口に陣営を組む為と…念のため、偵察部隊を先に向かわせましたので。」 森の中を騎士団全員で、ぞろぞろと進むのは無理があるから。オレと守護騎士を含む少人数で編成を組んで、移動するんだそうだけど。 一緒に来た騎士団の半数は、状況次第で迅速に動きが取れるよう…森の入り口で待機するのだという。 …で、本隊はオレの足に合わせて移動しなきゃいけないから。先に偵察隊を送って、ある程度魔物の討伐をしたり。魔族側の様子を探ったり等…色々と最善を尽くしてくれてるってわけだ。

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