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「セツ、私の後ろへ…」 悲観的になってたら、 ルーがオレの前に一歩庇うよう進み出る。 「死に損ないの騎士じゃん…もっかい死にたいの?」 ケラケラと蔑むコナーを、ルーは表情を変えること無く見つめて。 「私の命はセツの為に在る。お前達にくれてやる気など毛頭無い。」 迷いも無く、はっきりと答えるものだから。 ルナーはつまらないと眉を歪め舌打ちすると… 「なら試してやるよっ…!」 叫ぶと同時に、魔法を発動させた。 「召喚術だ、来るぞ…!」 『了解!』 オリバーさんが叫ぶと、ジーナやシロエさん達騎士3人組が応え、四方を警戒しつつ構える。 すると辺りからは、禍々しい気配が漂い出し…次には、 『グルアアアア…!!』 獣か鳥か…例えようもないほど不気味な咆哮が耳をつんざき、轟いた。 堪らずオレは耳を塞ぎ、身を震わす。 「ルーとアシュ殿はセツを、ロロは後方で我々を援護をして下さい!」 ヴィンが叫び…ジーナに目で合図を送れば、ふたりは同時に走り出していた。 「ぁ……」 周囲は既に現実とは切り離され、異空間にオレ達だけが囚われているという状況。 木々の向こうの景色は既に無く、まるで深い闇だけが延々に広がっているみたいだ。 そこから腹の底にまで響くような、魔物の唸り声が聞こえて。目を凝らせば、闇の中で蠢いてる何かのそれが…ギラリと此方を伺ってたから。 騎士の3人組も、直ちに散開して剣を抜くと。 闇の中の魔物も本能に駆られ、次々と襲い掛かってきた。 「ひっ…!!」 「はッ…!」 最初に現れたのは(からす)のように真っ黒な、鳥型の魔物で。木々の隙間から猛スピードで飛行してくる。 ソレはあからさま、オレ目掛け襲ってきたから… 恐怖に悲鳴を上げると、ルーがすかさず剣を振り下ろし叩き切っていった。 ぼとりと地に落ち絶命した魔物は、まるで墨汁が染み込むかのように消えていく。 鳥型の魔物は間髪いれず襲い掛かり… みんなが応戦して切り捨てていくものの。その猛追は止まることを知らず、 『ルァアアア…!!』 「荒手か…」 二足歩行で墨色の剣を携えた爬虫類型の魔物…所謂リザードと。漆黒の大きな狼みたいな、獣タイプのウォーウルフまでもが召喚され… 戦況はより、緊迫とした空気を漂わせていった。 「ホラホラ、ちゃあんと守らないと。神子が死んじゃうよ~?」 木の上から術を繰り出していくルナーが、不敵な笑みを浮かべ叫ぶ。 「調子に乗んなっ…!」 召喚の大元であるルナーをなんとかしなければと、魔物の追撃を掻い潜るジーナが隙を突き、投剣を放つが… 「ざ~んねん!」 惜しくもコナーにそれを阻止され…投剣は無情にも弾き返されてしまった。 そのままコナーは、自らすとんと下に飛び降りてくる。 「見てるだけじゃつまんないし、ボクも遊んでもらおっかな~。」 そしてにやりとジーナを捉え、構えると…その両拳から黒炎のような魔力を放出させた。

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