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(ふう…) おやすみなさいと挨拶して、ひとりテントへと入ると。簡易的にも寝床が作られており…ありがたく、とすんとそこへ雪崩れ込む。 外からは夜の帳を賑やかす、騎士さん達の談笑が届き。それに耳を澄ませながら…オレはゆっくりと目を閉じた。 (思ってるより疲れてんのかな…) 緊張感も解け、気が緩んだのか… 横になった途端、身体がずしりと重く感じて。 何故だか目頭が熱くなる。 それは魔族との戦いを、よりリアルに実感しているからで。 不安や恐怖心もあったのだろうけれど…。 何よりルー達の…人の優しさに触れたからこそ、感極まったというか…。 (泣いてる場合じゃないのにな…) グスッと、外に聞こえないように嗚咽を堪え涙する。 泣いてるだなんてバレたら、ルーがすっ飛んで来そうだし…みんなにもまた、気を遣わせてしまうから。 でも今だけ、ほんの少しだけ。 弱い部分を吐き出しておきたくて。 (明日も頑張らないと…) ポロポロと涙を溢しつつも、睡魔には抗えず。 次第にうとうとと、瞼が重くなる。 オレが休んでるからか、外は多少静かになったものの…相変わらず、みんなの声が微かに聞こえて。 『このままだと…セツには厳しいのかもしれませんね…』 『そうだね…本人は隠そうとしてるけど、相当参ってるみたいだし…』 夢現、ヴィンとアシュの神妙な会話が耳を掠める。 『魔王城跡はまだ先だし…かといって、のんびりしてる暇もねぇからなぁ…急がねぇと、間に合わなくなるかも…』 『ああ…』 ジーナが珍しく重たげな溜め息を漏らすと… ルーが何か考え事でもするかのよう、一言だけ返す。 (ルー…) これが夢かは解らないけど。 深く眠りに就いたオレには、もう何も聞こえなくなり… 長い夜はゆっくりと… されど、あっという間に過ぎ去っていった。

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