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「えと、次は…」 「ハイハイ!俺ッス!…あ、オリバー団長、お先にスンマセン!」 「いや、なぜ私に謝るんだ…」 ヴィンの番が終わり、少し休憩を挟んで。 勢い良く手を上げてやって来たのは、騎士のシロエさん。 いきなり謝られてしまったオリバーさんは、苦笑いを浮かべる。 「改めまして、第一部隊所属シロエと申しまッス!セツ殿、宜しくお願いしまス!!」 「あっハイ…えと、体調はどうですか?もしまだキツイようなら───」 昨日は魔物の毒に倒れたシロエさん。 一応俺の施した解毒魔法が、効いてるようではあったが…。 その手前、やっぱり遠慮するべきかなと思ったんだけど… 「だっ大丈夫ッス!!むしろセツ殿なら喜んでというかっ…」 シロエさんは真っ赤になりながら、 全力で「やらせて下さい!」と息巻いてくるので。 若干勢いに気圧されながらも、ご厚意に甘えることにした。 「そういえば、シロエさんていくつなの?」 「俺ッスか?18ッス!」 「なんだ、それならオレより年下じゃんか~。」 ヴィンまでは身内みたいなもんだったから、気楽で良かったんだけど…。 ほぼ初対面に近いという相手に背負ってもらうのは、なんだか忍びなく。手持ち無沙汰に、とりあえず年齢を聞いてみたら。 まさかの年下未成年という事実が発覚し。 更に居たたまれなさが増す羽目に…。 ちなみにベルさんとカナタさんは、シロエさんのひとつ上らしいので。騎士トリオとはなんとなく親近感を覚え、話す口調も幾分かは砕けてくる。 「騎士の人達って、体格良いし礼儀正しくて頼れるから。みんな大人びて見えるよね~。」 「ははっ…俺は図体ばっかで中身はガキだって、しょっちゅうベル達に怒られてますけどね~…。」 謙遜してるのか、自嘲気味に苦笑うシロエさんだけど。 「そうかな~?キミ達って仲良しで、息ピッタリって感じでさ。見てて楽しいよね。」 きっとオリバーさんの団だからってのも、あると思うけど。和気藹々としてて、上下関係のしがらみも全然なさそうだし… 理想の職場って感じで、ほんと羨ましいと思う。 「そんな風に言ってもらえると嬉しいッス!…セツ殿は、優しいですね…」 今度は照れ臭そうに笑うシロエさんは。 少し落ち着かない様子で、視線を下へと傾ける。 「神子が男だって聞いた時は、正直びっくりしたんスけど…。こうやって実際会ってみたら全然そういうの、関係無いっていうか。その…ほんとに可愛い人なんだなって…」 ぼそぼそと、されど至近距離なので… いきなりそんなことを言われ、ドキリとさせられるも。 シロエさんはモジモジしながら続ける。 「やっ、変な意味じゃなくて!…団長の気持ちも、解るなぁ~とか…」 「え…?」 それでも最後の方は殆ど聞き取れなくて。 はてな?と疑問符を投げ掛けても、彼はハッとして… 「おっ、俺なんかがスンマセン!…今のはナシでっ…」 首をブンブン振って話を打ち切られちゃったので。 それ以上はもう、追及出来そうになかった。 「セツ殿には命を救ってもらったんで。俺…全力で貴方を守護しますからっ。煮るなり焼くなり、好きに使ってやって下さいね!」 「煮っ…えっと、うん…無理はしなくていいからね?」 妙な空気になりかけたけど、いつものシロエさんの調子に流されるオレは。苦笑しながらも、ありがとうと告げておいた。 「…オリバー団長~いいんスか?アイツまで、マジんなってますけど…」 「良いも何も、個人の自由だからな…」 そんなオレとシロエさんの様子を、後ろで複雑そうに見守る視線があり… 「ちょっとライバル多すぎません?セツ殿もアレで全く自覚無いから、危なっかしくて放っておけないというか。庇護欲そそるというか…」 『え?…まさか…』 オリバーさんがベルさんとカナタさんと話ながら、疲れたように溜め息吐いてたけれど。 さすがにその内容までは聞こえてこなかった。

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