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⑨
「ふふ、待ち侘びたよセツ。」
「アシュは相変わらずだね…。」
5人目はアシュということで。
にっこりとキラキラスマイルに、両手を広げて歓迎され…。呆れつつもヨロシクと告げ、お世話になる。
「セツが皆と仲睦まじくしてたからねぇ。おかげでルーの機嫌が、どんどん険悪なものになってしまったよ。」
「えっ?……あ~…」
小声で言われ、ちらりと後ろの方に視線を送れば…案の定、不貞腐れているルーの姿が目に留まる。
敢えてこっちを見たくないのか、明後日の方を見ながらも…眉を八の字にしながら黙々と歩いていたので。
オレは思わず苦笑を浮かべ、溜め息を漏らした。
「ルーの気持ちは解らなくもないけれど。いつもはセツのこと、独り占めしているからねぇ?」
意地悪しちゃおうかなぁ~、とか。
アシュの首にしがみついてるオレのこめかみ辺りに、コツンと頭をくっつけてくる。
あ~やっぱり、メチャクチャ睨んでんじゃん…。
「アイツはすぐヤキモチ妬くからなぁ~…」
「とか言って、満更でもないクセに~。」
困ったもんだと言いつつ、にやけそうになるのは仕方ないことで。アシュには誤魔化せないってのも、然り。
「なら後で慰めてあげるといいよ。…だけど今だけは僕の番だから、ね?」
たまには構っておくれよ~って。
わざとらしく甘えた声を出すアシュ。
さりげなく、ルーのことを気にして助言したり…
最初はあんなにギスギスしてたのが嘘みたいだけど。
今では逆に仲良いというか、お互い信頼し合ってる感じするよね。
こういう気配りが出来ちゃうとこが、大人というか…アシュらしいなって、憧れるし。
ホント尊敬してるんだ。
「ハイハイ。アシュには色々と、お世話になったからね~。」
オレが敢えて子どもにするみたく、よしよしとアシュの頭を撫でて上げたら。一瞬だけ驚いたように目を丸くしたけれど。
次には目を細め、はにかみながら。
「セツには一生敵わないなぁ~…」
と、まるで独り言のように呟いていた。
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