330 / 423

「ふふ、待ち侘びたよセツ。」 「アシュは相変わらずだね…。」 5人目はアシュということで。 にっこりとキラキラスマイルに、両手を広げて歓迎され…。呆れつつもヨロシクと告げ、お世話になる。 「セツが皆と仲睦まじくしてたからねぇ。おかげでルーの機嫌が、どんどん険悪なものになってしまったよ。」 「えっ?……あ~…」 小声で言われ、ちらりと後ろの方に視線を送れば…案の定、不貞腐れているルーの姿が目に留まる。 敢えてこっちを見たくないのか、明後日の方を見ながらも…眉を八の字にしながら黙々と歩いていたので。 オレは思わず苦笑を浮かべ、溜め息を漏らした。 「ルーの気持ちは解らなくもないけれど。いつもはセツのこと、独り占めしているからねぇ?」 意地悪しちゃおうかなぁ~、とか。 アシュの首にしがみついてるオレのこめかみ辺りに、コツンと頭をくっつけてくる。 あ~やっぱり、メチャクチャ睨んでんじゃん…。 「アイツはすぐヤキモチ妬くからなぁ~…」 「とか言って、満更でもないクセに~。」 困ったもんだと言いつつ、にやけそうになるのは仕方ないことで。アシュには誤魔化せないってのも、然り。 「なら後で慰めてあげるといいよ。…だけど今だけは僕の番だから、ね?」 たまには構っておくれよ~って。 わざとらしく甘えた声を出すアシュ。 さりげなく、ルーのことを気にして助言したり… 最初はあんなにギスギスしてたのが嘘みたいだけど。 今では逆に仲良いというか、お互い信頼し合ってる感じするよね。 こういう気配りが出来ちゃうとこが、大人というか…アシュらしいなって、憧れるし。 ホント尊敬してるんだ。 「ハイハイ。アシュには色々と、お世話になったからね~。」 オレが敢えて子どもにするみたく、よしよしとアシュの頭を撫でて上げたら。一瞬だけ驚いたように目を丸くしたけれど。 次には目を細め、はにかみながら。 「セツには一生敵わないなぁ~…」 と、まるで独り言のように呟いていた。

ともだちにシェアしよう!