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②
「はぁ~…久しぶりに生き返った~。」
3日分の汚れを綺麗に落とし。
さっぱりとした身体に、ルーが用意してくれた部屋着へと腕を通す。
そうしてほこほこと、部屋へと戻ると…
「…それは…態とやっているのか、セツ…」
「えっ…?なにが?」
風呂上がりのオレを見るなり、目元を押さえるルーは。赤くなりながら、なんとも悩ましげに溜め息を吐くので。
改めて自身を振り返り、あ~…と察して答える。
「だってさ~、服がおっき過ぎるんだもん。」
ルーが用意してくれたのは、この基地に常駐する騎士さん達が着るための、備え付けの部屋着であり。
屈強な身体の彼らが着るものだから。当然オレなんかより、遥かにオーバーサイズなわけでして。
ズボンはウエストガバガバだし、上着だってブカブカでちょっとしたワンピースかってくらい丈があったもんだから。
風呂上がりで暑いし、もうそれとパンツだけでいいんじゃないかって思ったんだけど…。
「はぁ…セツには警戒心というものが無いのか…」
オレから視線を反らすルーは、心を落ち着かせようと大きく深呼吸をし。
「なんだよ…てか、別に我慢とかしなくても…」
屋敷ではいつもガッついてたクセに…。
なんかモヤっとしたので。
オレはルーに近付くと、わざと抱き付いてやる。
そしたらルーはびくんと肩を揺らして、
「っ…今は、駄目だ…」
「え~…」
なんて拒んで、オレを引き剥がそうとするから。
こっちも段々と意地になって…背中にまで腕を回し、あらがってみせた。
「ルーがしたい時にして良いよって、オレ言ったじゃんか…」
遠慮しないでよって、不貞腐れながら見上げると。
ルーは困り顔で瞑目して…何度目かの溜め息を漏らす。
「私だってセツに触れたい…だが今は、欲に流されている時ではないから…。」
察してくれと、ルーは切なそうに訴えてくるので。ま…仕方ないよね。
「別にいーよ…ちょっとからかっただけだし。」
「なっ…」
今度はルーがムスッとしちゃったけど。
オレだってお預け食らったんだから、おあいこってことで許してもらおう。
「でもさっ、ちゅーぐらいなら…良いだろ…?」
「うむ…それならば、」
うっすら口を開け、じーっと見つめたら。
ルーの顔がゆっくりと近付いてきて。
ふに…と軽く口付けた後、もう深く繋げられている。
「んっ、ふぁっ…」
こんなキスして、ずるいなぁと思いながらも。
今は人目を気にしなくてもいいから、そこは遠慮せず身を任せる。
「セツ…」
「んんっ…ぁ…?」
糸を伸ばし、ゆっくり離れてく唇からプツリと弾けたソレを目に。もっとして欲しいとか、つい後ろ髪を引かれながら。
うっとりとルーの顔を見上げると…同じように熱っぽく見つめ返されて。
「この魔王との一戦を、無事にやり遂げたら…」
真剣でいて、どことなく色艶を纏うルーの瞳に釘付けにされながら。
紡がれる言葉を、待ち侘びる。
「その時は、セツを…抱いても良いだろうか?」
「え…」
欲を包み隠さず晒け出し、オレを捉える緑柱石に。
オレの心臓が一際波打っては…熱を放つ。
「これは私の、覚悟だから…」
本音は今すぐにでも抱きたい。
けれどそれをしてしまったら、甘えてしまいそうだから。
ルーは告げ、オレの手を取り口付ける。
唐突に求められ、少し驚いちゃったけど…
「…いいよ。」
その時はオレの全部をルーにあげるから。
恥じらいながらもはっきり応え、ルーの胸へと擦り寄った。
すると耳元で名前を囁かれるから。
おずおずと顔を上げれば…また深く、唇を奪われる。
「それまでは我慢する、けどさ…」
一緒に寝るくらいは良いよね?…と、背中に回す手でぎゅっと服を掴む。
ルーは苦笑してみせるけど。
その目は今も色を含んだままで…オレの身体を抱き上げ、ベッドへと誘う。
「あ…でもオレ起きたばっかだから、まだ眠くないんだけどね…。」
「ならば、少しだけ…」
そう、少しだけなら。
悪戯に微笑むルーの顔がまた、ゆっくりと寄せられた後。じゃれ合うようなキスと睦言を重ね…
静かな森の夜は、しっとりと更けていった。
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