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④
「はあ~…朝から妙に疲れたなぁ…。」
年少組のふたりは、オレを心配して様子を見に来てくれただけだったようで。
その後は空腹に追い立てられ、待っててくれたみんなとも遅めの朝食をしっかり頂戴し…。
ルーはヴィン達と何やら難しい話をし始め、案の定オレは蚊帳の外って雰囲気だったから。
暇をもて余し、基地内を散策してみることにしたのだけど…。
「森の中なのに、結構広いんだなぁ~。」
廊下の窓から見渡すと、外には広場があって。
騎士さん達が荷物の点検や、武器の手入れなどに勤しんでいるのが見える。
更に視野を広げれば、敷地内はぐるりと高い柵で囲まれており…今いるこの建物の片側には、見張りのための塔のようなものが繋がって隣接しているのが確認出来た。
「あそこからなら、魔王城も見えるかな…。」
まだ此処からでも随分距離はあるらしいけど。
森の様子だけでもなんとなく見てみたかったので…オレは一路、その塔に向け歩を進める。
途中で擦れ違う騎士さんに挨拶がてら、塔までの順路を確認して。現在地である、オレ達が宛がわれた部屋…宿舎棟の屋上まで軽快に進んで行った。
「セツ殿、お疲れ様です!物見塔でしたら、彼方から上がれますよ。」
「お疲れ様です、ありがとうございます。」
常駐の騎士さんにお礼を告げて、早速向かおうとしたところで…
「セツ殿!」
「あっ、オリバーさん!」
呼ばれて振り返ると、オリバーさんが颯爽とオレの元までやって来て。先程の騎士が彼と擦れ違い様に、恭しく敬礼するのが目に留まる。
「何かあったんですか?」
「いえっ…セツ殿の姿が見えましたので…」
急いで来た様子だったから…そう訊ねると。
オリバーさんは慌てて否定し、なんとなく声を掛けたのだと苦笑した。
「あっ…え、と…」
ぱちりと目が合った途端、つい意識してしまい。
内心焦っていると…オリバーさんは不思議そうに小首を傾げる。
なんていうか…ひとつ疑問が生じると、もしかして…とか色々考えてしまうから。こんななんてことない行動をとられても、気になってしまうというか…。
平常心を保とうとすればするほど、テンパってしまうオレに。何かを察したオリバーさんは、気を遣ってか…率先して口を開いた。
「あ──…その、体調は良くなられましたか?」
「はっはい!昨日はその、あのまま寝落ちしちゃったみたいで…」
とりとめのない質問に、慌てて返す。
本当は中途半端に目が覚めてしまい、ルーと結構遅くまで起きてました~…とは言えないから。
そこはとりあえず誤魔化しては、苦笑う。
「そうですか…。セツ殿にとっては、初遠征でしたから。さぞ負担も大きかったでしょうし…」
目を細め微笑するオリバーさんは、じっとオレの目を捉えて話すので…なんだか落ち着かなくて。
「いえ…オリバーさんや、みんなにもいっぱい迷惑掛けちゃったから…」
初日なんてオレが不甲斐ないばかりに、殆ど進めなかったし…。翌日からは、ずっとおんぶに抱っこで恥ずかしい限りだけど…。
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