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「情けないですよねぇ、いい年した男が…ロロ達やシロエさん達なんて、年下なのに。オレばっか甘えてて…。」 自ら言っておきながらへこんでしまい、自嘲して苦笑う。 だからオリバーさんも、冗談ぽく返してくれれば良かったのに。 「セツ殿…我々は、日々訓練を重ねてきた騎士ですよ?」 「あっ…すみません!オレなんかが生意気言っちゃって…」 少し困ったように言われたので、慌てて頭を下げるのだけど…。 「…そうではありません、騎士であれば当然の事ですから。むしろ経験も無いのに弱音も吐かず、この場にいるセツ殿こそ…尊敬に値すると、私は思うのですが…。」 ふと真顔になるオリバーさんは、なんだか悩ましげな視線をオレへと注ぎ…思わず緊張が走る。 「それに私は…貴方の為とあらば。どれほど尽くしても足りないぐらいですから…」 「っ……」 と同じような瞳の色をしてるから、だろうか? 向けられるものが…熱くうっとりと、オレを映しているような気がして。心臓は忙しなくなるから… 戸惑うオレは、堪らず視線を逸らしてしまう。 「あっ、と…」 どうしよう、顔は熱いし…また変な空気だし… (これじゃまるで……告白されてるみたい、だ…) オリバーさんがアシュみたく冗談だとか、からかったりする性格じゃないのは明白だし。 きっと深い意味なんてない…とは思う、けど…。 むしろそんな彼だからこそ、生半可な事は口には出来ないし。どう言葉を返していいのかも判らなくて。 そうなれば、オレは黙ったままでいるしかなく。 更に微妙な雰囲気へと、追いやられてしまうから。 するとオリバーさんは… 「セツ殿─────」 『オリバー隊長~!!』 口を開いた瞬間、遠くから呼ぶ声がそれと重なって。 「あっ…シロエさん…」 オリバーさんが屋上から下を覗き込むのに習い、オレも広場の方へと視線を落とせば… シロエさん達3人組が、此方へと手を振っているのが見えた。 「……シロエ、どうした!?」 「おっ、やっぱ隊長だった~!そんなとこで何して───…って、セツ殿もいたんスか~!」 オリバーさんは一瞬躊躇いながらも、身を乗り出して広場にいる彼らへ叫ぶと。オレの存在にも気付いたシロエさんが、嬉しそうにブンブンと手を振りまくり… お約束通り、ベルさんから頭をどつかれてしまう。 「いえ~、ちょっと聞きたいことがあったんですけど~…!」 代わりにカナタさんがそう答えたら、オリバーさんはチラリとオレを気にするものの… 彼らにはすぐに行くからと返し、もう一度オレへと向き直った。

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