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ep. 34 守護騎士の真価①
翌日正午前、その時は訪れる。
ラルゴからは、こちらの都合の良いタイミングで…という提案を受けた為。休息も充分に、いざ出陣となったわけだが…。
こうして魔族の最上位クラスとの直接的な戦いは。
新参者のオレに限らず、ここにいる騎士達の殆どが初陣となるわけで。
犇々と、緊張感が漂う。
となれば、オレがそうなるのは必然であって…
逆にルーやオリバーさんといった、最終決戦のメンバーだけは、緊張こそすれど。表情を見るからに程よく…前向きな意味合いのようにも、見てとれるものだった。
「3班はこの場で待機し、念のため退路を確保。1班を先頭に、神子率いる本体は共に入り口前まで進みましょう。」
指揮を執るヴィンの合図を皮切りに、先頭の1班が満を持して一歩、魔王城の敷地内へと足を踏み入れる。
ここからはもう、何が起きてもおかしくはない。
皆は無言で五感を研ぎ澄ませ、周囲に気を配りながら慎重に進んで行った。
そうして最後尾が、中央付近…
庭園の朽ち掛けた噴水まで差し掛かったところで、
戦火は、相まみえることとなる。
「やっと来たねぇ~、待ちくたびれたよ。」
「あんまり遅いから、途中で死んじゃったのかなって心配しちゃったけどね。」
古びた魔王城の上階、広いバルコニーから幼い少年達の甲高い声が響き渡り。
オレが反応するより早く、既にみんなはその姿を捉えていて。瞬時に剣の柄に手を掛け、身構える。
「来やがったな、ガキんちょ共…」
まるで因縁の敵かのように、双子を睨み上げるジーナは。ひとり前へと躍り出ると…
「前回は中途半端にしか遊べなかったし。今度こそきっちり、ぶっ潰してあげるよ。」
コナーもジーナを見下ろし、ほくそ笑む。
「でもさすがにボクら2人に対して、この人数は割に合わないからね。」
言って両手を上げ、おどけて見せるルナー。
すると…
「騎士っていうのは、正々堂々って言葉が好きなんだろ?だからさ、」
『………!!』
ルナーがパチンッと指を鳴らすと、まるで隠れ蓑で覆われていたかのように。
気配も無く、城を囲う朽ちかけた壁の向こう側に突如として魔物の群れが出現し。
更には、
「魔族にも何人か声掛けておいたから、遊んであげてね。」
今までは魔物だけだった中に、明らか魔族と思しき顔ぶれが数人混ざっており。
双子がいる隣…城の右側のバルコニーにも3人、今更ながら潜んでいたことに気付かされた。
不自然にも、ルー達ですら全く気配が感じられなかったみたいから…
これはおそらく、ティンカかルナーの魔法で。意図的に隠されていたのかもしれない。
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