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辺りは騒然として一瞬の内に戦場と化し… 恐怖心に駆られるオレは、足が竦みそうになるのを必死で堪える。 「第一、第二所属は前線へ!残りは援護に回れ!」 襲い来る魔物の咆哮と、騎士達の怒号が飛び交う庭園内。 的確な指示に従い、攻撃部隊の騎士が先行して大型の魔物を討って出る。 勿論、鳥類や小型の魔物も入り乱れ襲い掛かってくるので。隙を突かれぬよう、連携して魔法や守備に特化した第三と第四所属の騎士達が、それらを確実に処理していった。 洗練された団体戦術は、傍目からも圧巻の一言。 何ら問題はなさそうに思えたが…。 「人間など…神子がいなけりゃ脆弱な種族のくせに…!」 「くっ…!」 今まで相手にしてきた魔物とは段違いに。 知性と身体能力を兼ね備えた魔族は、一筋縄ではいかず。攻撃を食い止める剣は衝撃に弾かれ、身体ごと吹っ飛ばされてしまう。 騎士はなんとか受け身を取り、態勢を立て直すも… 圧倒的な力量を前に、悔しげに顔を歪めていた。 「怯むな!!此処で敗北すれば、フェレスティナに未来は無いぞ!」 おおー!!と高らかに応え、騎士達が奮起する。 魔族も魔物も数が多く脅威こそすれ…統率の取れた騎士団だって負けてないはず。 各団からの選り抜きとは云えど、その団結力は健在であり。 互いに持ち味を活かし、奮闘してみせた。 「はぁ……あっ…!」 「させるか…!」 混戦する庭園を、ひたすら走る。 とはいえオレの足では高が知れてるし、魔物も魔族もオレばかりを執拗に狙って来てるものだから…。 足止めを食らいつつも、ルー達に守られながら。着実に前進はしていた。 足手纏いにだけはなりたくないからと、オレも自身を鼓舞し奮い立たせる。 「このままでは神子を逃してしまうぞっ!」 入り口まで残り半分辺りまで距離を詰めた頃、バルコニーにいる魔族達が苛立ち始め。地上にいる同族に向け、憤慨する。 しかしながら彼方側の統率は上手く機能しておらず。 本能的にしか動けない魔物では、足止めも儘ならなくなり… 「ならばアレを…!」 「負担は大きいが、仕方あるまい…」 すると3人の魔族は、それぞれの召喚術を中断し… 何やら合意のもと頷くと。呼吸を合わせ、同時に術を唱え始める。 「あはっ!…少しは楽しくなってきたじゃない~。」 「なに…?」 するとロロと戦っていたルナーが突然、意味深な笑みを浮かべて。 ロロは訝しげに少年を睨んだが─────

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