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⑦
『グオオアァ…!!!』
「はああッ…!」
察知する赤竜が、ルーを敵と見なし狙いを定める。
…が、一瞬早くルーの氷の刃が解き放たれ、鮮やかにも全弾命中させていた。
まともに魔法を食らう竜は、絶叫してバランスを崩し。たたらを踏みながら数歩、後退していく。
(すご、い…)
これが加護を得た守護騎士の実力。
その威力も然ることながら、青白い光を纏うルーの神々しい姿に。
つい心、奪われてしまう。
「赤竜が怯んでいるぞ…!!」
騎士達の歓声が上がり、止まることなく疾走するルーをじっと見上げる。
息も切らさずに駆ける様は、本当に頼もしくて…。
(神子の…ううん、オレだけの騎士なんだ…)
その腕に包まれる安心感からか、不謹慎にもときめいてしまったり。
だってスゴくカッコいいんだもん、ルー…
これがオレの恋人だなんて。未だに夢なんじゃないかって…思っちゃうよ。
「面白くなってきた…よねぇ?」
「ふんっ…」
ルーの魔法で怯んだ竜を目にし、今度はロロが不敵に笑うと。
ルナーは悔しげに鼻を鳴らして。
しかし次には、怪しげにほくそ笑んでるから…
「…まだまだ、こっからだよ!!」
ロロと一定の距離を取るルナーは、何やら術を唱え出し。その様子をジーナもコナーと戦いながら、ちらと視界に入れる。と…
「アイツ、何をする気だ…?」
「余所見してんなよ…!」
嫌な予感が過ったジーナは、ルナーを注視するも…。コナーを相手にしながらでは儘ならず、様子を伺うことしか出来なかったが…。
「上位種なら、少しは役に立ってよね!」
ルナーが赤い竜の頭部に向け、魔法を放てば。
それは当たる寸前で、花火のように音を立てて爆発する。
驚いた竜は、ブルブルと仕切りに首を振っていたのだけど…
『ギィアアア…!!!』
「な……退避だ!皆、一旦下がれ!!」
ルナーの魔法によって正気を失ったのか、怒り狂う赤竜は突然暴れ出し。
先程の火球ブレスを、形振り構わず乱打し始めた。
「チッ…余計なことしやがって…」
「ヒャハハ!ルナーのヤツ、やるじゃんか!」
一連を見ていたコナーは嬉々としてはしゃぎ、
ジーナは舌打ちして吐き捨てる。
しかし───…
「うああっ…!!」
ところ構わず吐き出されるブレスは、脆くなった城や花壇を無差別に破壊していき。
庭園内に聳え立つ物見櫓にも、見事に命中してしまう。
すると石造りのそれは、勢い良く崩壊して───…
「────…クソッ!!」
櫓の真下には不運にも、怪我をして動けなくなってしまった騎士と、その人を庇おうとする騎士の姿があり…。
考えるよりも先にジーナは駆け出していた。
あまりの反射速度に、目の前のコナーも殆ど身動きが取れないでいる。
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