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②
「しかしルーファス、先程の技…やはり神子の加護とやらの力なのか?」
「あれはセツが扱う魔法と、同じような性質だったよね。」
辺りに気を配りながら、オリバーさんとアシュがちらりとルーに視線を向けて。
「そうだ、さっきの魔法…」
言われてオレも思い返す。
元から相当な実力者だってのは、知っていたけど…
竜を怯ませた技は、騎士団のみんなも驚いてたくらいだからね。
「ルーがあんなことまで出来るなんてさ…ほんとスゴかったよね!」
オレを抱えて走りながら、瞬時にあれほどの威力の魔法を発動させるだなんて。
最初の火の球から守ってくれた時も、そうだけど。
今はもう、その光りも消えてしまってはいたが…
ルーはオレの反応に対して、さらりと答えてみせた。
「いや、あれは私も初めてで…」
「え、そうなの?」
無意識によるものだからと、曖昧に苦笑するルーは。自身も確かめるよう手を見つめ、思い耽る。
「咄嗟だったからな…セツを護らねば、と…。」
そうしたら身体が勝手に動いていたんだと、ルーは照れ臭そうに微笑んだ。
「そっか…」
神子が与える力はスゴイもんなんだと、散々聞かされてきたし…ある程度は知っていたけど。
中でも加護っていうのは特別で、本当に奇跡なんだなぁと…実感する。
だからこっちに来てすぐの頃から、神子と交われば不死身になるだのとか…色んな噂に振り回されたりもしたもんだが…。
そりゃ力付くでも奪いたくはなるよねって…話なわけで。
まさに今、魔王がその恩恵を狙ってるわけだけど…。
(ルーを選んで良かった…この力があれば、ルーだって傷付かなくてすむかもしれないもんね…)
神子の力は悪用させちゃいけない。
この力は、大切なものを守るためにあるんだから。
「セツのためか…まさに愛の力ってヤツだねぇ。」
「えっ…!?」
「はは、ならばルーファスは無敵だろうな。」
アシュが冷やかすから、オリバーさんまで笑ってるし。更には…
「これはセツのおかげだ。」
「違うよっ…加護っていうのは、ルーが持ってる本来の力を引き出すためのものだし…」
そう、だからルーが強いからこそ、加護が活きるわけで。そこに神子の扱う神聖な属性が加えられたっていう…。
だからオレは、きっかけを作っただけに過ぎないのだけど。それでもルーは、
「セツが私に与えてくれた、特別なものだからな…。」
ありがとうって…よりキラキラと輝く微笑みで以て。オレを虜にするのだ。
「こちらこそっ、助けてもらったし…ルー、スッゴくカッコ良かったし…」
思わず魅とれてしまい。モジモジしながら、ふたりの世界に浸りそうになっていると…。
「ハイハーイ、良い雰囲気のところ申し訳ないけど。そろそろ行くよ~!」
ヴィンがいないからね~と、手を打って容赦なく場をブッた切るアシュに…ハッと我に返らされる。
真っ赤になり慌ててルーから離れたら、オリバーさんに苦笑いされてしまったが…。
とにかくここは、気を取り直して進まなくちゃ!
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