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⑫
「でもね…オレは信じてみようと思うんだ。ジークリッドやラルゴ達のこと…」
オレだって、ジークリッドから与えられた恐怖も何も。未だ拭えてないから…言葉通りに、全てを信じることなんて出来ないかもしれない。
だけど今すぐ答えを出して。
後悔するようなことだけは、したくないからさ…。
「お前はアイツに!ルーを一度、殺されかけたんだぞ?それでも…許せるって言えんのかよ!?」
「それは!…そう、だけどっ…」
自ら生温い選択を口にしながら、
上手く気持ちを言い表せないでいると…。
オレとジーナの間に、ルーが割って入る。
「もし再び…魔王がセツに仇為す時が、あるならば。その時こそ、私がこの身を以て決着を付けよう。」
そうして戸惑うジーナとロロを、交互に見据えるルーは。とても真剣な眼差しをしていて。
「だから私は、セツの意思に…寄り添おうと思う。」
「ルー…。」
何があっても自分が必ず守るからと、頼もしいまでに微笑んでみせた。
更には…
「私も貴方に従います。その責は私も共に、背負う覚悟でおりますゆえ…。」
オリバーさんも胸に手を宛て、誓いを立てるよう宣言し。
「勿論、僕は端からセツの味方だよ~。」
「はぁ…色々と思うところはありますが。神子であるセツの意見は、尊重すべきかと…私は思いますので。」
アシュは相変わらずのノリでウインクをさし…
ヴィンに至っては、ちょっと意外ではあったけれど。
彼も異論はありませんよと、苦笑しながらも。
快く同意してくれたのだった。
これにはジーナとロロも、思わず顔を見合せていたが…
「わかったよ!…乗りかかった船だ、もしもの時は俺もきっちり尻拭いしてやっからよ。」
「…だね。ボクも守護騎士として、最後までセツに付いていくよ!」
ふたりも最後は笑顔を見せ、承諾してくれた。
改めてオレは、半身を起こしたジークリッドへと向き直る。
「ジークリッド、オレ達はこれから…全ての結界を直して行くよ。キミらのことを信じるとは言ったけど…中にはムーバみたいなことをする魔族がいるのも、現実だから…」
オレは神子の使命を全うする。
それは魔族にとっては冷酷な決断なんだってのも、承知の上だ。
けれど今はこれが、オレが思い付く限りの…
最善な選択肢だと思うから。
「構わねぇよ。元より俺は敗者、一切手は出さねぇと約束したからな。…とは言え、今後他の魔族がどうでるかは、保証も何も出来ないけどよ。」
魔王と呼ばれていても、彼が直接魔族を従えているわけではなく…あくまでも魔王は、魔族の中で最強と謳われているだけの孤高な存在に過ぎない。
影響力は有れど、統率は難しいと。
ジークリッドは正直に打ち明けた。
「出来る限りのことはするがな。…ティンカもルナーもコナーも、それで構わねぇか?」
意見を求め、声を掛けられた3人は。
やはりまだ煮え切らないといった態度を、示してはいたが…
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