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それはとても嬉しい光景だったけれど、 オレは慌てて頭を振り… 「あのっ…!そんな簡単に決めて良いのかな…もう少し迷ったり反対しても、良いんですけどっ…」 こんなに盛り上がってるとこで、なんだけど…。 フェレスティナに戻ったら、女王様や偉い人から怒られちゃうかもしれないんだし。オレなんかの味方してたら、みんなの立場だってどうなることか… 逸る騎士さん達を、そう諭してはみるのだけど。 「心配など無用ですよ。我が国の王ならば、セツの想いにもきっと応えて下さいますから。」 意外にも、そう断言したのはヴィンであり。 「あの陛下がセツをお叱りになると、お思いですか?」 「あ~…」 一番近くで見ているからこそ、女王様の人となりを理解してるんだろうから。 説得力に関しては折り紙付き。 これまで接してきた彼女を振り返ればもう、否定する余地すらなかったので…。 きっと大丈夫、なんだろう。 「セツはね、この国の救世主なのだから。」 「そだぞ~!文句言われようが、ドーンと構えてりゃいんだよ。」 アシュとジーナが励ますよう笑えば。 続くロロは、 「セツに喧嘩売るようなヤツがいたら、ボクが魔法で吹っ飛ばしてやるからね!」 安心して~!なんて、メチャクチャ不安でしかないことを口走ってたけども。 (へへ…) 頼もしいというか…こうやって認めて貰えるというのは。今までの苦労とか、不安や自信の無かった自分も、報われたような気がして…。 安堵するあまり、つい目頭が熱くなってきちゃった。 だから… 「みんな、本当にありがとう…」 改めて、ルー達と騎士さん達を振り返り… 心から感謝を述べる。 「オレの方こそ、みんながいてくれて…神子になれて、すごく幸せだよ!」 『………!!!』 うるうるしながら、満面の笑顔で感謝の想いを伝えたなら。 何故だかみんな目を丸くして、固まってしまったけど…。 「おっ…出たな~、セツの必殺騎士キラー!」 「セツは真性の人タラシというか、ねぇ…。」 ジーナとアシュがまた何かコソコソ耳打ちしてたのは、感極まってて聞こえなかったものの。 この遠征のおかげで、みんなとの信頼関係もより深まったということで。 辛いことばかりだったけど、最終的には結果オーライ。 「今回は、なんとか無事終えましたけど…まだまだ残りの結界の修復では、騎士の皆さんにお世話になると思いますから。その時はまた、よろしくお願いしますね~!」 『おお~!!!』 フェレスティナの命運を賭けた遠征は、意外な結果をもたらしたけれど。 それでも大成功のもと、 騎士達の歓声に包まれながら賑やかに。 その幕を閉じた。

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