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③
フェレスティナへと帰還してから10日程…
思えば神子屋敷に帰るのも、随分と久し振りなわけで。
初めての遠出は楽しくもあったけれど。
今となっては此処が我が家のようになりつつあるのか、戻ってきたんだなぁと染々と実感した。
宮殿だと人の出入りが頻繁だし。なんだか他所他所しい感じがして、休まらないというかね。
玄関先で屋敷のみんなから笑顔で出迎えられた時は、ちょっとホッとしちゃったんだ。
「ルー達は───…まだ戻ってはいないようですね。」
ヴィンが言う通り、ルー達守護騎士もオリバーさんも。まだ誰も戻ってないのは残念だったけど。
夕食時には戻るだろうからと、それまでの時間はもて余すことになり。
特にすることもなかったから…オレはお茶をしたり、ゆっくりお風呂に入ったりして。疲れた身体を癒しながら、みんなの帰りを待つこととなった。
そしていよいよ夕食の時間となり、
オレはひと足先に食堂へと足を運ぶと…。
「セツ~ただいま~!」
「はぁ~…やっと帰って来れたなぁ~。」
後から元気良く入って来たのは、ロロとジーナで。
しばらくすればぞろぞろと、アシュとオリバーさんも戻り。食堂は一気に賑やかになる。
「アシュおかえり。オリバーさんも、お疲れ様です~。」
「セツ殿も、戻られてから随分と大変でしたね。」
魔族との一件で、反対派が騒いだりもしたけれど。
アリシア様やみんなが、色々なところへと働きかけてくれたおかげで…大事には至らなかったんだよね。
オレの所為で迷惑掛けちゃって、申し訳なさでいっぱいだけど…。無事にことも運びそうだし、これで良かったのかなって思うよ。
「オリバーさんも、まだここにいてくれるんスよね!?」
「ああ、結界の修復もこれからだし…魔王以外の魔族については、更に警戒せねばならないだろうからな。」
嬉しそうに切り出すジーナが言うように、遠征でも大活躍だったオリバーさんも。引き続き特例として、神子と共に行動することになったそうで。
勿論これは、アリシア様の計らいであり…なんだか下心しか見えないんだけど。
オリバーさんほど人柄が良くて、頼れる騎士はいないからね。そりゃもうみんな…特にジーナなんかは、大喜びなわけですよ。
(ルー、遅いなぁ…)
仕方なく先に食事を始め、久し振りにのんびりとした団欒に花を咲かす。
みんなの会話に混ざりながら、内心はソワソワと…扉と時計を交互に盗み見ていた。
そんなことを、しばらく繰り返していたら…
「遅くなって、すまない。」
「あっ…」
待ち侘びていた人が、急ぎ足で扉より現れ…
思わず声が漏れてしまい。
なるべく顔に出さないよう、逸る鼓動と口元を押さえる。
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