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(どうしようっ…緊張し過ぎて、心臓が口から出ちゃいそうだっ…) 変に意識してしまうから…耐え切れず俯き、唇を噛み締める。 何か話さなきゃ、とは思うのだが… 浮わついた頭では気の利いた言葉も何も、思い付かなくて。 ひとり悶々と葛藤していると… 「ふふ…」 ふいにルーが笑みを漏らすので、びっくりして勢いよく見上げたら。ルーはすまないと苦笑いを浮かべて。 「や、そんなに緊張しなくて良いから。」 言いながらオレを安心させようと、優しく背中へと触れてきた。 「だ、だって、あんな風に言われたらっ…意味なのかなって…」 誰だって意識しちゃうに決まってんじゃん…真っ赤になって言い返せば。 ルーはオレが困惑してると勘違いしたのか、表情を曇らせてしまったので…慌てて弁解する。 「べっ…別に、嫌とかじゃなくてっ…」 ただ恥ずかしかっただけで、と素直に打ち明ければ。 「そうだな…私が悪かった…。」 少し意地悪してしまったなと、謝るルー。 そんな何気ない仕草にも、胸がぎゅっと締め付けられてしまい… 言い様のない熱が、この身に刻まれてくのを感じた。 「やっと帰って来れたのにさ…全然一緒にいられなくて、寂しかったからっ…」 ここまで来たら、恥じらいよりも本音を晒け出してしまいたくなり。 ルーの肩に、額を擦り寄せる。 そしたらルーは、オレのまだ乾き切らない髪にさらりと触れてきて…。 「私もだ、セツ…」 「ルー…も?」 ああと答えたルーをおずおずと見上げたら、 眩しそうに微笑まれ。 「こうなる事を、覚悟していたこととはいえ…会えない日々は、セツのことばかり考え…正直、気が気ではなかったよ。」 「ルー…」 間近にあるルーの顔に魅とれてたら、キス…されて。今日はやけに色っぽく見えるなぁとか、ぼんやりと考える。 「ふは…ルー、髪濡れ過ぎ。」 「ああ──…急いでたからな…。」 屋敷に戻ってきたばかりだったからと、シャワーを浴びてきたらしいけど。そりゃ髪も肌も湿っぽいはずだよね。 いつもならオレがルーに指摘されて、拭いてもらってんのに…変な感じ。 らしくない一面にクスクス笑っていると。 ルーは髪を掻き上げながら、照れ臭そうにぽつりと溢した。 「私も存外、緊張しているのかもしれないな…。」 そう告げる姿は、至って普段通りに見えるのに。 「ルーが?ウソウソ、めっちゃ普通にしてるじゃん…」 半信半疑にからかうよう、ぽすっとルーの胸に拳をぶつけたら。その手に大きなルーの手が重ねられ…ぎゅっと押し付けるよう、掴まれて。 「意識もするさ…セツといる時は、いつだって…な。」 「えっ…」 その言葉を知らしめるのは、拳から伝う鼓動であり。オレまでもが感化され、忙しなくなる。

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