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「これでもかなり、浮わついているんだ…。」 すり…と握る手を指でなぞられ、堪らず目を逸らし俯くのだけど…。 「約束、した…よね…?」 ジークリッドとの戦いが終わったらって───… ドキドキしながら、自ら切り出す。 恥ずかしいから、曖昧な物言いしか出来ないけど… ルーにはちゃんと、伝わってるみたいで。 でも… 「あれは私が、一方的に言い出したことだし…今はセツも疲れているだろうから、無理強いは────」 「ルー…」 あくまでオレの身体を気遣おうとする、ルーの言葉を遮り。真っ直ぐに視線を交わす。 「オレはね、待ってたんだよ…」 今、どんな顔してるんだろう…。 顔中熱くて泣きそうで、自分で何を言ってるのかさえ分かんないくらい、思考はグチャグチャしてる…けど。 オレは… 「ルーに部屋に行くって言われて…抱かれるんだなって、そう解ってて…」 ずっと待ってたんだからな? だから… 「今更、遠慮なんかしないで……オレの全部、奪ってよ…。」 覚悟してたとか、そんな綺麗事なんかじゃないよ。 答えは至って単純に、好きだからこそ貪欲に。 心だけじゃなく、身体ごと全部愛されたいって。 ただそれだけ、なんだからさ… 「っ………!」 言い切った途端、プツリと糸が切れたようルーによってベッドへと押し倒され… 唇を奪われる。 本当に余裕の無い、貪るような行為に。 胸の奥から愛おしさが込み上げた。 オレも応えるよう手を伸ばし、その背中へと夢中でしがみつく。 「ルーはっ…へーき…?オレなんかが、相手でっ…」 この期に及んで弱気になってしまうのは、オレが男でルーも男だから…で。 その言葉すら飲み込んで。 息吐く暇すら与えられぬまま、また口を塞がれる。 そうして大胆にも、寝間着の中へと手を忍ばされるものだから…身体は無意識に、ビクビクと打ち震えた。 「私とて、それこそ恋人となるずっと前から…耐えてきたんだ…」 キスは繋げたまま…うっすらと開いた瞳で縫い止めらると、もう逃れようが無く。 ギラギラと向けられる欲情に、心ごと射抜かれてしまうから。 「セツ…もう、止まれないからな…」 なんて顔で、オレを見てるんだろう… こんな綺麗でカッコ良くて。 騎士としてもひとりの人間としても、スゴく魅力的で。 そんなルーに、欲しいなんて言われたらさ。 「止まんなくていいからっ…ルーの好きにしてよ…」 そんなの必要無いから、今すぐ奪って欲しい。 喜んで応えるオレもまた… きっとスゴく、厭らしい顔をしていたんだろう。

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