406 / 423
⑧
「ひゃぁッ…」
主導権を託した瞬間に、再度唇を貪られ。
頬にこめかみにと、目一杯キスを落とされ…愛でられる。
そうやって思考ごと、トロトロに溶かされてしまったら。次には上着を脱がされ…素肌に直接、ルーの指が這わされていった。
触れられた箇所が甘く痺れ、小さく声が漏れる。
「ルーも脱いで、よっ…」
「ん…」
ひとりだけ裸にされるのも恥ずかしいから。
不満気に訴えれば…ルーは吐息混じりに応え、勢いよく上着を脱ぎ捨てる。
薄明かりの中、ベッドに押し倒されて。
オレの上に跨がるルーの身体は、まるで彫刻のように洗練されてたから…。
月光で浮き彫りになる、しなやかな筋肉に。
つい魅とれ、そのまま倒れるように密着され。
肌と肌が…しっとりと合わさった。
「んぅ…はぁ…あっ…」
今宵のキスは随分と余裕が無く…
ルーもオレも無我夢中で噛み付き、舌を絡める。
箍を外した口付けは、そんな生易しい響きとは裏腹に。静かな宵闇に、クチュクチュと卑猥な水音を滴らせ…口端からだらしなく、糸を紡いでいった。
同時に胸の突起を摘ままれ…
塞がれたままの口から、くぐもった悲鳴が零れる。
「セツ、セツ…」
「ああっ…や…」
荒々しい呼吸の合間に、時折耳元で名前を囁かれ。
舌を捩じ込まれた途端、無意識に仰け反る身体。
耳朶を一度甘噛みされたかと思えば、舌を這わせながら、それはゆっくりと首筋まで移動していき…。
今度は無防備なそこに噛み付かれ、きつく吸われてしまった。既に声を気にする余裕すら無くなっていたオレは、嬉々として艶っぽい声を上げてしまい…
「あっ、まっ…て…」
「…ん…?」
ルーの手が、下半身へと伸ばされたところで。
なんとか理性を振り絞り、口を開けば。
ルーからは、なんとも物欲しそうな目で見つめられてしまうのだけど…。
「あの、さっ…オレ、その…男同士のやり方、なんとなくしか知らなくって…」
元カノからは、それとなく聞かされたことはあったものの…
まさかこんな日が来るとは、夢にも思わなかったから。記憶も曖昧なため…オレは恥を偲んで、正直に切り出した。
「えと、それでっ…ルーも、初めて…なんだよね…?」
疑うわけじゃない…けど。
そこは再確認しときたかったというか…。
ルーには色々とされてきたし。
何をされても、気持ち良くなっちゃうからさ…
ぶっちゃけ疑心暗鬼してたとこもあって。
本当に初めてだって言うなら、遣り方とかも分かんないだろうし。
その…最後までちゃんと出来るのかなって、不安だったのだけど…。
ともだちにシェアしよう!