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「ひゃぁッ…」 主導権を託した瞬間に、再度唇を貪られ。 頬にこめかみにと、目一杯キスを落とされ…愛でられる。 そうやって思考ごと、トロトロに溶かされてしまったら。次には上着を脱がされ…素肌に直接、ルーの指が這わされていった。 触れられた箇所が甘く痺れ、小さく声が漏れる。 「ルーも脱いで、よっ…」 「ん…」 ひとりだけ裸にされるのも恥ずかしいから。 不満気に訴えれば…ルーは吐息混じりに応え、勢いよく上着を脱ぎ捨てる。 薄明かりの中、ベッドに押し倒されて。 オレの上に跨がるルーの身体は、まるで彫刻のように洗練されてたから…。 月光で浮き彫りになる、しなやかな筋肉に。 つい魅とれ、そのまま倒れるように密着され。 肌と肌が…しっとりと合わさった。 「んぅ…はぁ…あっ…」 今宵のキスは随分と余裕が無く… ルーもオレも無我夢中で噛み付き、舌を絡める。 箍を外した口付けは、そんな生易しい響きとは裏腹に。静かな宵闇に、クチュクチュと卑猥な水音を滴らせ…口端からだらしなく、糸を紡いでいった。 同時に胸の突起を摘ままれ… 塞がれたままの口から、くぐもった悲鳴が零れる。 「セツ、セツ…」 「ああっ…や…」 荒々しい呼吸の合間に、時折耳元で名前を囁かれ。 舌を捩じ込まれた途端、無意識に仰け反る身体。 耳朶を一度甘噛みされたかと思えば、舌を這わせながら、それはゆっくりと首筋まで移動していき…。 今度は無防備なそこに噛み付かれ、きつく吸われてしまった。既に声を気にする余裕すら無くなっていたオレは、嬉々として艶っぽい声を上げてしまい… 「あっ、まっ…て…」 「…ん…?」 ルーの手が、下半身へと伸ばされたところで。 なんとか理性を振り絞り、口を開けば。 ルーからは、なんとも物欲しそうな目で見つめられてしまうのだけど…。 「あの、さっ…オレ、その…男同士のやり方、なんとなくしか知らなくって…」 元カノからは、それとなく聞かされたことはあったものの… まさかこんな日が来るとは、夢にも思わなかったから。記憶も曖昧なため…オレは恥を偲んで、正直に切り出した。 「えと、それでっ…ルーも、初めて…なんだよね…?」 疑うわけじゃない…けど。 そこは再確認しときたかったというか…。 ルーには色々とされてきたし。 何をされても、気持ち良くなっちゃうからさ… ぶっちゃけ疑心暗鬼してたとこもあって。 本当に初めてだって言うなら、遣り方とかも分かんないだろうし。 その…最後までちゃんと出来るのかなって、不安だったのだけど…。

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