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⑬
「あっあっ…はやっ…るう…!」
「はッ…すまない、セツ…止まれそうに、ないっ…!」
さっきまでの優しい前戯が嘘のように。
ルーは最初から、まるで全速力かってくらいの勢いで、オレを揺さぶってきて。
ガツガツと打ち付けられる度に。
甲高い悲鳴が、口をついて溢れ出す。
中を抉られれば、視界は火花を散らして真っ白くなり…瞳はぐちゃぐちゃと涙に濡れ、口端からはだらしなく涎が零れ落ちていった。
けど…今のオレに、それを気にするほどの理性はもう残ってはおらず。
「んあッ…そこ、ああっ…」
向こう見ずに突っ込んでるだけに見えて。
ルーはちゃんと、さっきの気持ち良いとされる箇所…
所謂、前立腺という部分を的確に刺激してくれており…。
激しく抜き挿しされる度、ルーのモノが絶妙な快感を与えてくれるから。
「セツ…気持ち良い…かっ…?」
「ンンっ…さっきのとこ、よすぎてっ…」
こんな感覚、初めてかも─────…
比べるのも無粋な話だが。
女の子との行為で、ここまでの快感は味わったことがなかったし…
ううん、そういうことじゃなくて…
「る、うっ…ルー…!!」
きっとルーが好きで好きで仕方ないから。
気持ち良くて、興奮しちゃうってだけで。
そこに際限なんかは無く…もっともっとって、
バカみたいに欲しくなっちゃうから。
(このまま溶けちゃいそう、だなんて…)
幸せ過ぎて。
繋がったとこも、ぴたりとくっつけた肌と肌も。
ひとつになれたら良いのになんて。
本当に、思えるものなんだな…。
「るっ…どうしようっ、オレ…もっ…」
どんどん加速されてく律動に、身体は熱量を上げて。
窓から照らす月光の、仄暗い部屋の中では…
不釣り合いにも卑猥な水音と、腰を打ち付ける音が。
荒々しい呼吸と混ざり、辺りを彩る。
耳で眼で五感全てでルーだけを感じ、
目前の行為に酔いしれて。
オレは抱かれることが、ルーはこの行為自体が…
お互い初めてだったにも関わらず。
それは思いの外、野性的で。
睦言と呼ぶには…荒々し過ぎるものだったけれど。
「セツ…セツっ…」
「ンっ…ああっ…」
「愛してる…」
例えどんな形だろうと。愛する者同士が求めた先にある、ひとつの表現方法なのだから。
「オレもっ、すきっ…大好きっ…!」
そこに綺麗も汚いも、無いんじゃないかって。
だって今、すごく幸せだからさ…
「あっ──────…ああっ…!!」
ルーの抽挿が、一際激しくオレの中を抉り。
強烈過ぎる衝動が、全身を駆け巡る。
すると背中は弓形に揺れ、悲鳴じみた喘ぎ声を発して。脈打つ性器はドクドクと、歓喜するみたく白濁を撒き散らし…果てていった。
途端に身体は、カクンと力を失う。
「はッ…あっ…ぁ…ンっ…」
それでもまだルーはイッてなかったから…
余韻に浸る中、しばらく挿入は繰り返されて。
脱力するオレはされるがまま、小さく喘ぐしかなかったのだけど…。
「セツ───…くっ…!!」
程よくして達したルーは頑なだったソレを、ぶるりと大きく震わせて。
腸内に自身を収めたまま…
オレの中で熱く滾る欲を、勢い良く解き放った。
(ああっ…ルーのが、中に…)
脈々と絞り出される精液が、惜しみ無く注ぎ込まれ。この上ない快感から多幸感に満たされる。
「はぁッ……あっ…」
ふやけた視界で、なんとか見上げたルーは。
呼吸は荒く、肩で息をしていて。
雪崩れ込むように、オレの耳元へと顔を埋め…
愛おしげに擦り寄ってくる。
混ざり合う体温と汗が、妙に心地良い…。
(ルー…)
好き、大好き。
本当は今すぐぎゅっと抱き締めて、
何度も愛してるって伝えたいのに。
意識は視界と共にぼんやりと、遠退いてしまう。
「る、う…」
「ん…」
名前を呼べば、ルーはオレが望む通りのキスをくれるけれど。
気持ちとは裏腹に。
オレは絶頂がもたらす余韻の赴くまま…
呆気なく、意識を手放してしまうのだった。
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