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⑭
「ん…」
「セツ…起きたのか…?」
ぴくりと瞼を揺らすと、ルーの声が間近で聞こえ。
眠ってしまったのだと悟り、重たい目をなんとか擡げ開く。
「オレっ…寝ちゃったの…?」
目覚めた途端にしょんぼりするオレの髪を、ルーは梳くよう優しく撫でて。
「数分程な…気を失うよう、眠ってしまったから…」
さほど時間は経っていないのだと伝えられ、息を吐いて安堵した。
言われてみれば、お互いの身体もベッドも事後のまんま。室内には生々しい匂いもまだ立ち込めていたし…
「そかっ…なら、良かった…」
「ん…?」
エッチなこと、シてた時は…自分でも抑えらんないくらい叫んじゃってたからか。
声が少し掠れてしまい、上手く喋れなかったけど。
「だって、さ…せっかくの、初夜なのに…。こんな早く寝ちゃったら、勿体ないだろ…?」
「っ…!」
密着する下半身を擦り付けるよう、足を絡めたら。
吐き出したばかりの精液が、互いの肌に張り付いて、ねっとりと水音を立てる。
その時ルーが喉を鳴らしたのを、オレは目敏く認めてたから…
恍惚として微笑み、目を細めた。
「あ…」
その内ルーの中心も再燃され始め…気付くオレが声を漏らせば、バツが悪そうに目を泳がせるのだけど…
「ねっ…ルー、オレ…もっとシたい…」
ダメかな?…ねだるように、下から顔を覗き込んだら困ったよう、嘆息するルー。
「セツ…その様に言われてしまったら、俺はお前を壊してしまいそうだ…」
泣いても知らないぞって、態と意地悪く脅してくるのだけど。
「へーき…ルーになら、どれだけ酷くされたって構わないもん…」
もう知っちゃったから…
今更止まれやしないんだよ。
「…ならば、覚悟しといてくれよ…」
「ふふ…ルーも、ねっ…」
神子として騎士として、
それぞれ成すべきことは山積みで。
全てはこれから、まだ始まったばかりなんだけど…。
今宵だけは、その役割を忘れて。
恋人同士の逢瀬の時を、
少しだけ堪能させては…くれないだろうか?
「ルー…大好き…」
「私も…愛しているよ、セツ…」
欲しくて欲しくてやまない、愛おしい人。
ずっとこうしていられたら…どんなに幸せだろう。
そんなことを本気で願いながら…
眠る間すら惜しむ、夜の獣は。
本能のままに、何度も何度も肌を重ね…
その想いを存分に確かめ合うのだ。
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