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③
「なるべくオレも、自分で出来ることはしたいんだけどね…。ティコにはさ、上の子の守護を…お願いしたいんだ。」
「え、僕が…!?でも─────…」
僕は孤児院の出だし…と、
つい卑屈なことを口走ってしまったが…
「だからこそ、だよ。ティコはずっと小さい子のお世話をしてきたんだしさ。こんなこと頼めるのも、ティコしかいないんだよ?」
セツが身分なんて気にするような人ではないから。
僕の不安なんか、その笑顔で一瞬にして…吹き飛ばしてくれる。
「えっと、でもさ…セツの上の子って、確か女の子だったよね…」
まだ幼いとは思うけど。僕だって一応男だし…そういう意味では、不向きだし。
親としては気にならないんだろうか?…と、慎重にもなるのだが。やっぱりセツは、あっけらかんとしていて。
「へーきへーき。むしろティコなら、すぐ懐いてくれるだろうし…ねっ、ルー?」
「ん?…ああ──まあ、そうだな…」
ニコニコと、ルーファス様にまで同意を求めてたけど。こちらの反応に至っては、なんだか曖昧なものだった。
…本当に大丈夫なのかな?
「とりあえず産後の育児が、落ち着くまでの間だから…最低でも2年くらいは、お願いしたいとは思ってるんだけど。その間は団を離れて、ここで過ごしてもらいたいから…無理強いはしないよ?それでも、」
ダメかなって、僕を見上げてくるセツは。
自覚も無しに僕の心を揺さぶり。
居たたまれず、ルーファス様を盗み見たら…
同情するよう苦笑されてしまった。
解るよ、ルーファス様…僕だってしょっちゅう誑かされてるし。セツがこんなだと、気が気じゃないよね。
そうはいってもセツは…ずっとずっと、ルーファス様に夢中だから。
そんな心配は要らないんだけど。
「僕で良ければ…喜んで。」
大丈夫。これは決して下心なんかじゃない。
世界を救ってくれた神子が、僕みたいな一介の新米騎士を…頼ってくれているのだから。
応えてみせなきゃ、男が廃るだろって…
これはジーナさんからの受け売りなんだけど。
「ありがと、ティコ!無理言っちゃってゴメンな~。」
「ティコ、少々お転婆ではあるが…娘のこと、宜しく頼む。」
セツとルーファス様は揃って微笑み。
律儀にも頭を下げてくるから。
まるで絵画でも見てるかのように、
本当に綺麗で、お似合いなふたりだなぁと…心から思った。
「あ…どうせなら、娘さんにも挨拶しておきたいんだけど…。」
最後に神子屋敷に来たのが、2年程前だったし。
その時はまだ、2つか3つくらいだったと思うから…また更に成長してるはず。
さすがに僕のことも、覚えてはいないだろう。
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