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―終りを告げる今日―
――夕暮れの沈む、誰もいない学校の屋上に行く為に階段を一人トントンと上がると、静寂に静まり返った学校の屋上に一人辿り着いた。風が冷たく吹いては俺の頬をそっと風が撫でた。
小さなため息をつくとフェンスの方へ歩いた。錆びついたフェンスの前には板がしっかりと頑丈に貼られていた。
『よじ登るな危険!』
その文字通りの事を俺はまさに今しようとした。俺は何回も何回も繰り返し考えた。何度も自分のこの思いに悩み、苦しみ、一人で暗闇の中で考え続けた。
何百回も考えた結果、昨夜その答に辿り着き。俺は結論を自分に出すとまさにそれを今、実行に移そうとしていた。一度、大きく深呼吸をすると自分の中で張り巡らせた緊張を和らげた。
『完全』に死ねるのか?
それとも失敗して半身不随の体で生きるのか?
俺の中で不確かな答が幾つも頭の中に浮かんだ。
どうせなら、一瞬で死にたい…――。
長引く痛みも面倒だ。
俺はそう思い、強く自分の心にその事を言い聞かせた。
「どうせ生きていてもこの先、良い事なんてほとんど無く。何も無い。つまらない人生が、ただ其処にあるだけだ……」
そう言って誰もいない、夕暮れが沈んだ屋上で一人その事を虚しく呟いた。
消えるのは一瞬。痛いのも一瞬でその後は自分の自我から解放されて無に返るだけ。
「こんな世界に今さら未練なんて無い…――!」
そこで思い立つと目の前の錆びついたフェンスに手を掛けて、ガシャンと響かせた。そして、ガシガシとフェンスの上によじ登った。
高いフェンスの上に座ると、遥か遠くに続く。一面の景色を黙って静かにそこで眺めた…――。
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