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―終りを告げる今日―

 男子生徒はまだ遠くの情景を一人眺めていた。俺はその男子生徒を見て慌てると、フェンスの上から下の地面にトンと降りた。そして、何食わぬ顔でその場を急いで離れようとした。 男子生徒は俺の方を振り返らずに、まだフェンスから遠くの景色を眺めていた。そそくさとした足取りで、階段の入口に入ろうとした時。フェンス越しに凭れていた男子生徒が俺の方を振り向いてきた。そして、そこで話しかけてきた。 「何だよ。飛ばねぇのかよ?」  その言葉に思わず振り返ると、その男子生徒をジッと見た。俺と男子生徒は少し互いを見ながらその場で暫く黙り込んだ。静けさ漂う屋上が更に俺達の中を静寂に煽った。言葉も交わさずに俺はその男子生徒をしばらく見つめた。 夕焼けに沈んだ光景を背にして、少し光を浴びて照らされた姿が不思議と神秘さを感じさせた。  銀髪に青い瞳に、色白で透き通る肌。そして、少し中性的に見える綺麗な顔立ちが俺の中で更にその神秘さを強めた。  言葉に表現出来ない。言い知れない感情が俺の中を突如、支配した。その男子生徒の瞳を見れば見るほどにそれは不思議な感覚だった。  俺はその男子生徒の放つ、不思議な引力に強く惹かれそうになった。その場で言葉を失うと無言になった。 彼は黙ってフェンスから離れるとその場で俺の方に近づいてきた。少し緊張しながら身構えると、自分の息を思わず呑み込んだ。 「――何だよ、黙りかよ? 面白くないな。お前」 その言葉に突如ハッと我に返った。そして、彼を見て直ぐに不機嫌そうな顔と態度を露骨にした。俺はムッとした顔で言い返した。

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