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―終りを告げる今日―

突然の事に頭が混乱してその男子生徒に対して、 思わず慌てた態度をとった。 「待て……! お前いきなり、何やろうとしてるんだ!?」 「見ればわかるだろ? 今から飛ぶんだ。邪魔をするな…――!」  その言葉にさらに気持ちが煽られた。自分でもわけがわからずに動揺した。 「まっ…待て、早まるな!! つーかお前一体、何々だよ!? 遺書は? 死ぬ前に遺書はちゃんと書いたのか? 誰かと最後に連絡はしたのかよ――!?」  混乱気味になりながらも、とにかく思いついたことを片っ端から言いまくった。目の前で慌てる様子の俺に彼はあっさりと言い返した。 「遺書なんてめんどくせー。お前だって今、遺書 書いて無かっただろ? 自分はしてねぇーで俺に言える立場かよ」  男子生徒に急にそんなことを言われると、俺は焦りながら言い返した。 「うるせぇ俺は別に言いんだよ! ほっとけよ、つーかお前ふざけんな! ここは俺が何日も下見して見つけた『場所』なんだよ! 死ぬならここじゃなく、他当たれよバカっ!!」 そこで思わず感情的になると、ムキになりながら説得力が無い言葉で豪語した。そうすることで、その場で相手を引き止めた。男子生徒はフェンスから黙って離れると今度は俺に近づいて来て顔を覗き込みながら言ってきた。 「プッ、何お前。顔が青いぜ? ひょっとして俺に焦ったのか?」 その言葉にムカつくと、思いっきり声を荒らげて怒りを露にした。 『ふざけるなっ!!』  そう言って彼の肩を手で押して小突いた。 男子生徒はそこで薄笑いを浮かべながら、俺に勝ち気な感じで言い返してきた。 「何だよお前、さっきからビビってさ。ホント、度胸ねぇ奴だな。やっぱりその程度かよ」  その瞬間、俺の中で何かがプツリと切れる音がした――。

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