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―終りを告げる今日―
風が吹き荒ぶ誰もいない学校の屋上で男子生徒の細い首を静かに締めはじめた。そこからは記憶が途切れ途切れになりながら、俺は自分をその場で見失いつつも、必死で自分自身をコントロールしようと精一杯だった。
別に目の前の彼を殺したい訳でも無いのに、俺の中で駆り立てられた強い衝動は、もはや自分では抑える事は出来なかった。首絞めながら男の顔を見ると、言い知れない何か。得たいの知れない
もう1つの強い感覚に突如襲われた。
彼は俺の行動に少しだけ怯んだ顔をすると、少し
苦しそうな表情を見せた。俺は荒ぶる感情の波を
自分で必死に制御しようとその場で必死だった。
暴走したもう一人の俺は、その男子生徒にあの『幻覚』と『幻影』を重ねると。自分の中で沸々とした怒りが沸き上がった。そして、今まで押さえつけていたトラウマはチャンスとばかりに、彼に対して容赦のない態度に出た。
細い首に自分の手を静かに掛けると、キリキリとさせながら俺はそのまま自分を何度も見失い続けた。
「……何でお前、俺の頭の中に居続けるんだよ? ふざけんなよ……!」
『消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ―っ!!』
俺は彼にあの幻影を強く重ねながら、意味不明な言葉を連呼してどなり散らした。そして、我をを忘れて無我夢中で言い続けた。
男子生徒は俺から自分の手を下に下ろし、力無い状態になった。そして、足元にそのまま『壊れた
人形』のように崩れ落ちた。
俺は幻影と幻覚の狭間で正気である理性を自分の中で取り戻すと、視界を覆っていた強い目眩に似たビジョンが突如その場で消え失せた。そしてふとした瞬間に我に返った。
「あ…――」
風が一瞬、俺の中を冷たく吹き抜けると、目の前で力無く動かなくなって倒れた男子生徒を唖然とした表情で地面を見下した。
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