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―終りを告げる今日―
「――そうだなぁ、確かにさっきのはさすがにこの俺でさえも効いたさ。『死ぬ』ってあんな感じなのかな? フフフッ……」
彼は妖艶な声で怪しく囁くと、俺の肩に今度は自分の両手を乗せて来た。
「何なんだよお前…――?」
俺の質問に対して後ろで小さくクスッと笑うと、『さあ……?』と言って笑って答えた。得体の知れない相手を前に好奇心が疼くと、少しだけ興味が芽生えた。
「お前、誰なんだよ」
男子生徒は黙って後ろからスッと手を伸ばすと、まるで絡みつくような仕草で、怪しく抱きついてきた。
「……そんなこと誰だっていいだろ?」
彼が怪しい声で囁いてくると、俺は少し後ろを振り向いて、相手の瞳を黙ってジッと見つめた。瞳を見た瞬間、俺は何処か『危険』な感じがする男だと本能的に感じた。彼の黒い瞳に映っていた漆黒は何処までも果てしなく。ただの紛れもない『深い闇』が其処に映っていた。 男の瞳に自分の瞳を重ねて客観的に俺は悟った――。
こいつ俺と同じ瞳をしている。
その事が自然と脳裏に過ると他の誰でもない。この男に黙って沈黙した。そんな俺に彼は怪しい声でさっきの出来事を何気なく話してきた。
「――首を絞められるって、あんな感じなんだな。お前に首絞められて正直言ってゾクゾクしたよ。何て言うか『快感』っていうのかな、凄くスリルを感じた。お前も俺の首を絞めてどう思った?」
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