31 / 121

―虚無の嵐―

次の日、いつもと変わらない朝が来た。鳥達の囀ずりの声でベッドの上で目を覚ました。いつもと変わらずに朝から体がダルく重たかった。起きてベッドから起き上がろうと体に力を入れた。 どう言う訳かなかなか身体が言う事を聞かずに、俺はそこで力尽きて再び寝込んだ。 「……ああ、学校いきたくねぇ」 宙を仰ぐように呟くと、見馴れた天井を見ながら暫くボーッとした。どうせならこのまま一生深い眠りにつけたらいいのに…――。  俺はふと、そう思った。ぼんやりとしていると部屋のドアをノックする音が聞こえた。 「貴也君、起きてる?」 その声は祖母の声だった。俺はベッドから返事を返した。 「ハイ、起きてます……」  返事をすると祖母が部屋に入って来た。昨日は夜遅くに帰って来たので俺は祖父母を心配させてしまい。その事もあり、朝から二人してぎこちなかった。祖母が部屋に入って来ると何気なく目を反らした。そして、俺の方を見てくるとニコニコしながら彼女は笑った。 「ねぇ、貴也君。良かったら部屋のカーテン開けてもいいかしら?」  その問いに俺は首を横に振るが、祖母は部屋のカーテンを勝手に開けた。一瞬、日の光が部屋に差し込むと、眩しくて方目を閉じた。 「…ッ! 里葎子(りつこ)おばあちゃん眩しい、 カーテン閉めて!」 そう言うと祖母は悪戯に笑った。そして、今度は部屋の窓を開けた。 「貴也君、部屋の空気の入れ替えしなきゃ駄目よ。カーテンを締め切っちゃダメってお医者様に言われたでしょ?」  そう言って祖母は部屋の窓を全開に開けた。 外から冷たい秋風が入ってくると、俺はベッドの中で身震いした。 「さ、寒い…――!」  その場で布団に包まっていると祖母は言った。 「あら貴也君、外に鳥の巣箱作ったの?」  祖母はそう言うとベランダの外に出た。俺は渋々ベッドから出るとカーディガンを羽織った。そして、ベランダの外に出た。

ともだちにシェアしよう!