35 / 121

―虚無の嵐―

「みてろよ…――!」  そう呟くとそこで決心した。  自分が死に損ないじゃないことを今ここで証明してやる!  自分を震い立たすと、思いっきって車道に一歩踏み出した。 そして、前を見た。 『こんな世界に今さら未練なんてないっ!!』 俺は心の中でそう叫んだ。親しい友もいなきゃ、この世にもう、両親もいない…――。  今さらこんな世界に一体、何の『未練』があるんだって言うんだ! 車道の中に再び一歩前に踏み出すと、辺りは俺に向かって何かを言った。しかし、そんな事はもうどうでもいい。俺はこの世界に今、自分から別れを告げた。 『うぉおおおおおっ!!』  思いっきり叫ぶと車道側に向かって、俺は一気に前へ飛び出した――。

ともだちにシェアしよう!