救急隊員は血まみれの男性を担架に乗せると、慌ただしく救急車を走らせて、そのまま病院方面へと向かった。 　呆然としながら地面でへたってると、男性2人が俺の体を支えて地面から起こした。俺は1人の男性の肩に体を支えられながら呆然としながら不意に尋ねた。 「あの、一体何が起きたんですか…――？」 「ああ、あれはきっと飛び込み自殺だよ」 俺は再び唖然となった。そして、離れた場所から女子高生たちがヒソヒソと話をしていた。 「ねぇねぇ今の見た？」 「見た見た、さっきの凄かったね！」 「マジヤバいよね、あれさ～」 「わ～、私さっき動画撮るべきだった」 「あんたやめなよ～」 「え～何で～？　超決定的瞬間じゃん！　しかも飛び込み自殺の動画なら、即バズるに決まってるじゃん！」 「キャハハハッ、超ウケる！」 　3人の女子高生達は周りも気にせずに、その場で大声で笑っていた。そして、面白がって話を続けていた。俺はそのことでムッとなった。 何なんだコイツら……？ 　人が目の前で跳ねられたのに、不謹慎にも程がある。 　どんな想いで自殺を図ったかわからない癖に、何なんだコイツらは…――！？ そこで急にカッとなって、女子高生達に向かって思いっきり怒鳴った。 『笑うなっ！！』 　俺は怒鳴ると鋭い目で彼女達を睨みつけた。3人は俺の方を見る言い返した。 「はぁ？　何あいつ、超ムカつくんだけど〜？」 「こわ～い！　行こ行こ！！」 女子高生達は蜘蛛の子を散らすよう、そそくさと何処かに消えて行った。 俺は込み上がる怒りで、自分の拳が震えた。 　クソッ！　世の中腐ってやがる……！！