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―虚無の嵐―

  その時だった。俺の世界は再び現実に戻った――。 その場で誰かの視線にハッと気がついた。そして慌てて辺りを咄嗟に見渡した。すると俺はそこで唖然となった。 目の前の交差点に人混みに紛れて。誰かがこちらをジッと伺っていた。そして俺の方を見てくると薄笑いを浮かべながらクスッと笑った。  その瞬間、思考が一気に停止した。警察は俺に何かを話すと肩に手を乗せて来た。 「君、聞いてるのか?」  俺はそこで警察の手を振り払うと、一気に目の前の交差点に向かって走った。  やっぱりそうだ、間違いない!   アイツだ! 男は俺に気がつくと人混みの奥へ走って消えた。その時、咄嗟に叫んだ。 『おい、待てよっ!!』  俺は走って現場から遠ざかった。 警察官が後ろから仕切りに呼び止めるが、そんなこと今の自分に関係ない。こっちの方が一大事だ。街中を走りながら男を後ろから追いかけた。 『待てよ、待て……!』  そこで必死に呼び止めるが男は俺の前を走り、全く立ち止まる気配は無かった。いきなりそこでムカついてくると思いっきり叫んだ。 『畜生っ!!』  その瞬間、俺は一気に前へ突っ走った。周りは避けるように道をあけた。そして俺と男は街中を疾走した。

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