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惹かれ合うさき……

「まあ、身長が高くて体型も良く。顔も良いお前にとっては女なんか直ぐに作れるもんなぁ。一人二人フッた所でも大した事ねーもんな? お前は知らないと思うけど、顔が良いから女子達の間では人気だぞ。知ってたか?」 「僻《ひが》むなよ――」 隣で嫉妬っぽく嫌味を言ってくると、それを軽く受け流した。そして、そのまま階段をトントンと降りた。長い廊下を歩きながら教室に向かう途中で羽柴は不意にある事を話してきた。 「あー。そうそう、お前知ってる?」 「何?」 「俺らと同じ学年で、1年C組に居る男子生徒なんだけどさ。すげーとびきり美人で綺麗な顔をしてるって噂だぜ?」 「綺麗な顔……?」 「どうも日本人と外国人のハーフっぽくって、見た目が変わってるから直ぐに目立つかもな」 「美人って言い方おかしいだろ。同じ男だろ?」 「分かってないな~。そいつ見た目が中性的で、顔が綺麗過ぎて男女ともに告白されまくってるらしいぜ」  羽柴のその話しに一瞬、あの少年の顔が浮かんだ。 「なあ、そいつ……」 「ん?」 「そいつの名前なんて?」 自分には珍しく興味が湧いた。両手をポケットの中に入れたまま立ち止まって尋ねると、羽柴は後ろを振り返ってあっさりと答えた。 「――さあ、俺は知らね。ただ部活の先輩達が話してるの聞いたからさ。それに実際見たわけじゃないから分からないけど。もし気になるならC組の教室覗けば良いと思うぞ。確かお前と同じで、窓側の後ろの席に座ってるってさ」 「窓側……」 「何だよ。もしかして男に興味があるのか?」 「ふざけるな、誰が男なんか。お前も誰かさんと同じみたく言ってるんじゃねーよ」 「ん、誰だ?」 「お前には関係無いだろ……!」 一瞬、あの時の事を思い出した。街中でアイツが俺の後を冷やかしながらついて来て、その後いきなりキスされた――。

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