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惹かれ合うさき……
学校が終わった放課後、友人の成田を連れて買い物に付き合わせた。アイツは俺の誘いに嫌な顔もせずに、仔犬のようについて来た。
さすがに一人で父の誕生日プレゼントを選ぶ気にはなれなかった。いいや、本当は何を買ったら良いのか分からなかっただけだ。
街角のショーウィンドウの前に佇み、ボンヤリとした顔で考え事をしていた。そもそも『普通』の親子ならこういう時、何を買って選ぶのか……。
自分でこの関係がおかしいのは解ってる。でも、一度狂ったものは直す事は出来ない。まるで砂の城のように脆く足下から崩れて行く。きっと今はその途中なのかも知れない。
「ねぇ、園咲君!」
「ん……?」
「どうしたのさっきからボンヤリして?」
「ああ、ちょっとな…――」
そう言って返事をするとショーウィンドウに背中をつけて凭れた。成田は、不思議そうな顔で見て来ると話した。
「所でさ。帰りがけに何を買いに来たの? それも『高級』そうなお店の前で……」
ショーウィンドウに並べられているマネキンの服を見ながら、アイツは瞳を輝かせて興味津々に尋ねてきた。
「なあ。成田は自分の父親の誕生日に何を贈る?」
「そうだなぁ。うちの両親は共働きだし。いつも仕事で忙しいから、みんなで一緒に揃うのもなかなか時間的にも合わないし。パパの誕生日祝いとかも家族で余りやらないかな。でも、時々はやるよ? ずっと前に、僕が描いた似顔絵があげたら喜んでたよ」
「似顔絵って、他に選択肢なかったのかよ――?」
「えー、だって普通に買ったら高いじゃん。その分あんな物で簡単に喜んでたから安上がりだったよ」
成田はそう話すと子悪魔な顔でクスッと笑った。そこで呆れた顔で溜め息をつくと『お前らしいよ』と呟いた。
「ねぇ、もしかして君のお父さんの誕生日?」
「……ああ、今日が誕生日だ」
「そう――」
今日が父親の誕生日だと話すと、成田は隣に寄り掛かって話した。
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