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惹かれ合うさき……

 予約していた席を確認しに行ったウエイターの男性が戻って来ると、彼に声をかけた。 「園咲様、今確認して参りました。お席の方に一人、お見えになっていらっしゃいます」 「そうか、では君、私をそこの席の方に案内してくれたまえ――」 「畏まりました」 彼は自分のネクタイを軽く締め直すと直ぐに息子がいる席へと向かった。胸を弾ませながら歩き、高まる気持ち抑えて席の方に行った途端、そこで彼は衝撃的な光景を目にした。 『……なっ、何故お前が此処にいるっ!?』  驚いた顔をしながら声を出すと、其処には赤いドレスを着た千尋がいた。 「旦那様…――!」  彼女は髪を後ろにアップして、赤い薔薇の髪留めの飾りを頭に付け、上品な服装の赤いドレスを見事に着飾っていた。 「これは一体、どう言うことだ!? 何故、息子じゃなくてお前が其処にいる! それに何だその格好は――!」  突然の事に驚くと彼女に向かって激怒しながら詰め寄った。混乱する彼に千尋は話した。   「旦那様どうか落ち着いて下さい……! 胤夢お坊ちゃまが私を此処へ来るようにと伝えたのです。今日は旦那様の『誕生日』だからと、先ほどこのドレスを着て来るようにと言われました――!」 「ふっ……! ふははっ、うちの息子がお前を此処に勝手に招いたとでも言うのか? 嘘ならマトモな嘘をついたらどうだ。きっとお前の事だ、勝手に私の後をつけに来たんだろ!?」 「ちっ、違います……!」 「胤夢は私との時間を『大切』にする良い子だ。それをお前如きの女が間に入って、私達親子の幸せな一時を邪魔して良いはずが無いだろ!」 彼は自分を見失うように彼女を叱るすると、怒りを露わにしながら蔑んだ。 「それになんて顔だ、その顔でよく此処に来れたな! お前は私に恥をかかせたいのか!?」  千尋の右頬には大きなガーゼが貼られていた。昨日、彼に殴られた傷跡を隠す為だった。その姿がみっともなく感じると、彼女の前で更に悪態をついた。  

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