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惹かれ合うさき……
「せっかくの祝の席なんだ。父さんも彼女と仲良くやろうよ。それにあんな酷い事したなら尚更、千尋さんと上手くやろう。さあ、二人とも早く席に座って一緒に乾杯しよう」
胤夢は大人びた振る舞いでその場を冷静に落ち着かせると、ウエイターの二人に『父が御迷惑をお掛けしました』と言って下がらせた。
「胤夢、お前は父さんの話しが分かってるいるか? それにこんな服を着せてお前はどうかしているぞ。この女が私達の大事な時間を奪っていいはずがない。私は絶対に認めないぞ、絶対にな!」
「だ、旦那様……」
彼は怒りに内震えた声で拳を握ると、息子の思わぬ行動に不満を募らせた。胤夢は黙ってテーブルの椅子に座るとグラスに水を注いで飲んだ。そして、片足を組んで父に一言言い返した。
「何? 不満? じゃあ、彼女みたいに俺も殴る?」
「ッ…――!」
怯む事も無くそこで強気な姿勢で言い返すと、千尋は思わず止めに入った。
「つ、胤夢お坊ちゃま……!」
「ねぇ、千尋さん。父さんの誕生日一緒に祝ってくれるよね?」
「わ、私はその……」
「胤夢!」
「父さんは黙ってて。俺は今、彼女に聞いてるんだ」
父の顔を見て反抗的な態度を見せると、胤夢は彼女に再び聞いた。
「千尋さんだって父さんの誕生日、俺達と一緒に祝いたいだろ?」
そう言って話すと千尋は恐る恐る主の顔を見ると、小さく頷いて返事をした。
「わ、私もそうしたいです…――」
彼女がおどおどしながら言うと、胤夢の父は嫌そうな顔で『フン!』と鼻を鳴らした。
「ありがとう千尋さん。じゃあ、みんなで一緒に祝おう。父さんも良いよね?」
「こんなの間違ってる。どうかしてるぞ、胤夢。いつもなら私との時間を大切にするじゃないか」
そう言って然りげ無くテーブルの下から、胤夢の膝の上を擦るようにそっと撫でた。怪しく身体を触ってくる父を彼は黙ってその手を払い除けた。素っ気無い態度を見せる息子に段々と不満が溜まると、彼は怒りに震えながら口にした。
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