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惹かれ合うさき……

――最上階の真ん中にある最高級のスイートルームに二人は泊まった。部屋を入ると父は上着を脱いで、赤いソファに座ると胤夢に話し掛けた。 「さあ、お前も立ってないでこっちに来なさい」  父に呼ばれるとドアの前に佇んでいた胤夢は、黙って言う事を聞いた。そして、隣に座ると父は話した。 「――お前、今日はどう言うつもりだ? 父さんと二人で夜は過ごすと話したのに。何故、彼らを呼んだんだ。それも父さんに一言も話さず勝手に決めて。私がお前との時間をどれだけ大切にしているか分かるだろ? 普段から仕事で忙しいから、お前とこうして居る時間も少ない事ぐらい分かる筈だ。なのに一体、何が気に入らないんだ。それにあんな女まで呼んで……!」  そう言って怒ると最後は癇癪《かんしゃく》を起こした。父の質問に胤夢は、ただ何も言わずに黙っていた。そして、一度も父とは目を合わさずに顔を反らした。息子の態度が気に入らなくなると彼は突然、大きな声で怒鳴った。 『何だその態度は、お前は父さんを困らせたいのか!?』  いきなり怒鳴ってくると胤夢は冷静な声で『父さん怒らないでよ』と言って目を向けると返事をした。 「ああ、胤夢……!」 自分の方を見てくると、父は怒りの感情から冷静になった。そして、両手で顔に触れて額をくっつけて謝った。 「私がすまなかった、突然大きな声を出して……! またカッとなってしまった。お前と今朝約束したはずなのに。ああ、本当にすまなかった…――!」  そう言って謝る父に胤夢は『気にしてない』と一言話した。そして、さっきの事を謝った。 「……勝手な事してごめん。ただ、俺は二人だけで誕生日を祝うのが寂しいと思ったんだ。他の誰かと一緒に祝った方が父さんも喜ぶと思ったんだ」 「そうだったのか胤夢、お前は優しいな…――」  息子の一言に全てを理解すると、そのまま腕の中に抱き締めた。 「そうか、お前はそこまで考えてくれてたのか。なのに父さんは勘違いばかりしてしまった。情けない父をどうか許してくれ……」 彼は詫びるように話すと胤夢の手を取り、頬擦りして愛しそうに話した。 「頼むから父さんを困らせないでくれ、私にはお前が《《必要》》なんだ。それに私達には愛し合う大切な時間がもっと必要だ。それを他の奴らに使わせないでくれ、愛してる。そう、心から…――」 心酔した顔で胤夢の瞳を見つめると、不意にキスをしようとした。それを咄嗟に拒むと両手で突き放した。  

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