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第7話―愛の迷路―
離れた所からお互いに視線を向け合うと、あの男は俺から顔を反らして廊下を歩きだした。他の男子生徒に体を支えられていたから、あの様子だと何処か具合いが悪いんだろうなと不意に思った。あの時も、俺の前で苦しんでたしな……。
「何だよ、人の顔見といて平然と素通りしやがって。手を振って挨拶くらいしろよな」
ボソッと呟くと、つまらなそうな顔で黒板の方に目を向けた。別にあの男が気になるとか、心配とかしている訳じゃない。ただ偶然、目についただけだ。
そうだ、こんなのただの気まぐれだ。
あの時も、屋上であの男が飛び降り自殺する場所を探していたのを俺は一人で居る時に偶然に見かけた。その後、あの男が死のうとした時も自分の気まぐれで声を掛けただけだ。
別にあの男が気になってる訳じゃない…――。
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